2017 Fiscal Year Research-status Report
Cu-64、Cu-67イオンを用いたがんの診断、治療薬剤の開発
Project/Area Number |
17K10458
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
須郷 由美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (90354836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 和幸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (80414530)
山口 藍子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座等教員 (80609032)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Cu-64 / キレート剤 / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の標識反応を必要とせずにCu-64イオンをそのまま薬剤として利用する簡便迅速な診断法のさらなる高度化を目指し、正常組織への生理的集積を低減させる薬剤との併用により、より安全で高精度ながん診断法を確立する。さらに、治療に適したCu-67を用いたがんの内用療法へと展開を図る。 今年度は、主にプロトン照射により製造したCu-64を用いて、vitro実験により正常組織への生理的集積を低減化するキレート剤の探索、およびその投与条件について検討を行った。 1.Cu-64の製造:量子科学技術研究開発機構イオン照射研究施設において、サイクロトロンから生じる11 MeVのエネルギーをもつプロトンビームを濃縮安定同位体Ni-64に照射し、(p,n)反応によりCu-64を製造した。 2.キレート剤の探索:ヒト血漿またはアルブミンにCu-64の塩化物を添加することで形成される血漿たんぱくとの結合体に、各種キレート剤を添加し、37℃で一定時間インキュベートした。サイズ排除カラムクロマトグラフィーによりCu-64の成分分析を行った結果、血漿成分中のアルブミンから候補薬剤となるキレート剤へのトランスキレーション反応を観測することができた。 3.がん細胞へのCu-64集積性に及ぼすキレート剤の影響:正常組織への生理的集積の低減化が期待される候補薬剤を共存させた系で、キレート剤を添加するタイミングや濃度等を変えて、がん細胞へのCu-64集積性を比較した。その結果、がん細胞に一旦集積したCu-64は、キレート剤濃度に応じて若干集積率が低下してしまうものの、キレート剤の種類によってはがん細胞からCu-64が引き抜かれる割合を十分に抑えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度内に肝細胞の入手が困難であったため、その代替手段として血漿たんぱくとの結合体からキレート剤へとCu-64がトランスキレーションする反応を観測することで、正常組織への生理的集積の低減化が期待される候補薬剤を選定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、vitro実験から正常組織への生理的集積を低減化するキレート剤の探索およびその投与条件を検討してきた。次年度以降は、マウスを用いたvivoにおける体内動態を解析し、キレート剤によるCu-64の排泄促進効果を検証するとともに、がん特異性が向上されたことをPETイメージング画像からも検証する。
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Causes of Carryover |
動物実験を次年度以降に持ち越したことから、実験用マウスおよびその実験器材の購入を見送ったために、次年度使用額が生じた。次年度以降の研究経費については、動物実験用マウスや器材のほか、分析用カラム等消耗品の購入にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)