2018 Fiscal Year Research-status Report
被ばく個体由来iPS細胞は放射線障害治療へ応用できるのか?
Project/Area Number |
17K10463
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
小原 千寿香 (逸見千寿香) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, 主任研究員(任非) (90415977)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線に被ばくした治療対象者本人由来のiPS細胞の治療応用の可能性について検討を行うため、被ばくマウス個体由来細胞を用いてiPS細胞を作製したiPS細胞クローンのゲノム安定性について検討を進めている。 マウス個体に X線0, 0.1, 0.5, 1, 2Gyの全身照射を行った後、照射後のマウス尾組織から線維芽細胞を採取した。照射個体由来の線維芽細胞は増殖にも照射の影響を受ける事から、マウスiPS細胞を作製・樹立する際には、レトロウイルスベクターを用いてOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの4因子に加えてdsRed2を導入し、レトロウイルスベクターの感染効率をモニターしながら、マウスiPS細胞の作製を行った。 これまでに樹立した被ばく個体由来マウスiPS細胞クローンの性状については、以下の通り、引き続き解析を進めている。 放射線被ばく個体由来マウス尾の線維芽細胞を初期化した後、ゲノム不安定性が存在するかどうか確認するため、染色体1,2,3番の多色FISHについて、現在検討を行っている。染色体1,2,3番は形状的に大きく、転座などが生じた際の識別が容易である点から検討に用いた。同時に、染色体数の異数性検査についても、検討を行っている。 初めに、コントロールとして、マウス胎児由来線維芽細胞(MEF)を用いた条件検討を行い、評価系を確立した後、非照射個体由来iPS細胞について、解析を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム不安定性について解析を行うための評価系を確立し、これまでに樹立した非照射個体由来iPS細胞について引き続き解析を進めており、おおむね順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、被ばく個体から樹立に成功したマウスiPS細胞株についても、引き続き多色FISH解析を行い、ゲノム不安定性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に、実験に用いる消耗品を必要分購入した際に、7円の残額が生じた。次年度も、引き続き実験を進める上で、消耗品類の購入が必要になる予定である。そのため、当該年度の残金7円は、次年度物品購入経費に組み込んで計上する使用計画を予定している。
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