2017 Fiscal Year Research-status Report
確率論的LQモデルによる放射線治療効果予測法の研究
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17K10464
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鬼丸 力也 北海道大学, 大学院医学院, 准教授 (80374461)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線腫瘍学 / 放射線治療 / Linear Quadratic model / 確率分布 / 確率論 |
Outline of Annual Research Achievements |
数値simulationを行った。 シナリオAとして、最初に1億個の癌細胞があるとし、1億個の0か1からなるベルヌーイ列 (0または1が1億個並ぶ。例 100110・・・) を作成した。ベルヌーイ列中の0を死亡、1を生存とみなし、ベルヌーイ列中の1の個数を1億個の細胞のうち1回照射後の細胞生存数と見なした。1のでる確率はpとするが、pは確率分布β分布に基づき決めた。作成されたベルヌーイ試行列の1の数を数え、照射後の細胞数N1とした。次に、2回照射後の細胞数を計算し、N1個の0か1からなるベルヌーイ列を再度作成した。0を死亡、1を生存とみなす。1のでる確率はpとするが、pは1回目と同じ数値とした。作成されたベルヌーイ試行列の1の数を数え、照射後の細胞数N2とした。以上を、生存細胞数が0個となるか、33回照射されるまで繰り返した。以上を1万回繰り返し、そのうち生存細胞数が0となった場合を局所制御と見なした。 シナリオBとして、シナリオAとはpの数値を毎回β分布から乱数で発生させた。それ以外はシナリオAと同様の手順とした。 平均値と分散を異なるようにしたβ分布で検討したところ、シナリオA、シナリオBともに、β分布の平均値が同じであっても分散が異なれば局所制御率に変化が見られた。特に、決定論的な検討をすると局所制御率が100%となる1回照射後の生存率が0.3の場合では、分散を約0.001から約0.02まで大きくすることでシナリオAでは局所制御率が100%から92.8%まで下がった。0.4の場合でも99.8%から79.8%と低下した。一方、シナリオBでは生存率0.3や0.4では分散による局所制御率の変化はなく生存率は100%から99.99%であった。 以上のことから、放射線照射後の細胞集団の平均生存率だけではなく分散も局所制御率を検討する上で重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確率的な変動を考慮して放射線治療後の局所制御率を説明できる可能性が示された。また、この結果を米国放射線腫瘍学会に応募できた。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線治療中の腫瘍増殖の影響を取り込んだモデルを作成してsimulationを行う。
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Causes of Carryover |
購入予定であったノートPCと統計ソフトの購入を行わずとも今年度は研究が進んだため。
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