2018 Fiscal Year Research-status Report
確率論的LQモデルによる放射線治療効果予測法の研究
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17K10464
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鬼丸 力也 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80374461)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線腫瘍学 / 放射線治療 / Linear Quadratic model / 確率分布 / 確率論 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの結果として、放射線照射後の細胞集団の平均生存率だけではなく生存率の分散も局所制御率を検討する上で重要であることが示唆された。 この結果を2018年に開催された第60回米国放射線腫瘍学会において発表した。主な結果としては、1回照射後の平均細胞生存率が0.3の場合、分散が約0.001の場合は局所制御率は100%であったが、分散が約0.02まで大きくなると、放射線治療中のそれぞれの照射前に平均細胞生存率を改めて決めるシナリオ(前年度報告のシナリオB)では局所制御率は100%のままであったが、放射線治療開始前に平均細胞生存率を決めたシナリオ(前年度報告のシナリオA)では局所制御率は92.8%に下がった。平均細胞生存率を0.4、0.5と変化させると分散が小さい場合にはシナリオBの方が局所制御率が高く、分散を大きくすると局所制御率が悪くなる傾向がどの平均細胞生存率でも見られたがシナリオAで顕著であった。ところが、平均細胞生存率を0.6とすると分散が約0.001の場合、局所制御率はシナリオAで3.1%であったのに対し、シナリオBでは0%となった。平均細胞生存率を0.6とし分散を大きくしていくと局所制御率は改善していったがその効果はシナリオAで顕著であり、分散が0.02の場合の局所制御率はシナリオBで5.0%であったのに対しシナリオAでは30.7%と著明に改善した。 このことから、当初の予想以上に局所制御に与える放射線照射後の細胞集団の生存率の平均値と分散の影響の関係性が複雑なことが予想された。 また、数値シミュレーションプログラムの改良により、検討された平均生存率と分散、また細胞数に変化をつけることが比較的簡単になる見込みで、次年度はより詳細な検討が行える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想以上に、局所制御に影響を与える放射線照射後の細胞集団の生存率の平均値と分散の関係が複雑なことが示唆され、研究の発展性が示された。 また、数値シミュレーションプログラムの改良ができ、詳細な結果が得られる見込みとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーションプログラムの改良により、放射線照射後の細胞集団の生存率の平均値と分散の関係を詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
統計ソフトの購入を行わなかったため。
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Research Products
(2 results)