2017 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤による新規膀胱温存療法の確立を目指した基礎的研究
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17K10467
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石川 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70344918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍免疫 / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
浸潤性膀胱癌に対する膀胱温存療法の良い適応となる条件を見出すために,膀胱温存治療として,経尿道的膀胱腫瘍切除術後に化学療法併用で根治的な放射線治療を施行した臨床病期II-III期の72例について検討した結果,5年生存率,無増悪生存率,および局所制御率はそれぞれ75%,71%,83%であった.生存に関して,高齢,T3,水腎症がある症例,単発症例が,局所制御に関しては単発症例,5cm以下の症例で予後良好であった.以上の結果と文献レビューの結果から,膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害剤併用放射線治療の医師主導臨床試験を立案し,つくば臨床試験研究開発機構にプロジェクト支援を申請した. 膀胱温存療法を施行し,研究に使用する放射線治療前の病理検体が保管されている症例について,マイクロダイセクションを行い,免疫化学組織染色法を行う資料を作成した.放射線治療効果予測分子の候補として調査するPD-L1以外の蛋白の検討は,研究に関する倫理申請が承認され,臨床情報が既知であった子宮頸癌の生検材料を用いて染色条件を設定した.p53,Waf-1,HIF-1,VEGF,COX-2,NF-KB,E-cadherin, Rho-A, Rho-C, ROCK-1,ROCK-2について検討し,Rho-A, Rho-C, ROCK-1の蛋白発現に相関を認めた.また,Rho-A過剰発現を有する症例の3年無再発生存率,無遠隔転移生存率は64%、54%に対し,過剰発現のない症例では93%、83%(p<0.05)で予後因子となることが分かった. PD-L1阻害剤と放射線照射の併用効果に関する実験法を確立するために,先行研究で照射後のPD-L1発現が増強することが既知であるマウスB16細胞を用いて,照射後の生存率を阻害剤併用の有無で検討し,20Gy照射直後の併用が局所効果が最大で,照射単独に対して生存期間も延長した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理申請の手続きが必要であるため,研究計画書に記載した当初の予定の順番を変更し,臨床研究,および臨床検体を用いた免疫染色を先行して行った.また,染色に用いることができる検体に限りがあるため,調査する候補蛋白の選定と染色条件設定を優先した.これらについては当初の予定以上に進んでおり,他に予定している研究については次年度に行う.
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Strategy for Future Research Activity |
検体が染色条件が確定した蛋白については随時免疫染色を行っていく.連携研究者が自身の研究に時間を取られているため,実験助手の協力も得ながら研究を推進するとともに,2週に1回,連携研究者と進捗状況を確認しながら研究を進めていく.臨床研究に関しては研究グループが決定したため,定期的なミーティングを行っていく.
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Causes of Carryover |
臨床検体を用いた研究を優先したため,初年度に行う実験の一部が来年度になったこと,および蛋白発現に使用したモノクローナル抗体の一部は他の研究費で購入済みであったことにより,351,148円を次年度使用額として使用する.
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Research Products
(6 results)