2017 Fiscal Year Research-status Report
Modulation of radiation sensitivity of cancer cells through regulating the epithelial mesenchymal transition using microRNAs
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17K10472
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小川 良平 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60334736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵谷 豪 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (30524243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / 癌幹細胞 / CRISPR-Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
培地にTGF-βを添加することにより多くの癌細胞で上皮間葉転換(EMT)が促進されることを確認することから研究を開始した。さらに、TGF-β添加による長期の培養により癌幹細胞(CSC)関連遺伝子の発現が増強することが示された。また、上皮成長因子(EGF)や線維芽細胞成長因子(FGF)などの成長因子を含むCSC形成培地で癌細胞を培養することでも、CSC関連遺伝子の発現が増強することを確認した。後者の場合、CSC関連遺伝子の発現と並行して、スフェロイド様の細胞塊の形成が観察された。 これらの培養法や培養過程の解析データをもとに、現在、EMTの可視化およびCSCの可視化を進めている。EMTに関しては、EMTマーカー遺伝子であるビメンチン遺伝子およびE-カドヘリン遺伝子それぞれの下流に2A配列を介してレポーター遺伝子をCRISPR-Cas9法により導入し、それぞれの変化を追跡することにより簡便で効果的なアッセイシステムの確立を目指している。CSCの可視化は使用細胞であるHCT116をCSC誘導培地で培養した時に発現増強割合が特に大きかったOct4、Lgr5、NANOGの各遺伝子について同様の手法で下流にマーカー遺伝子の導入を目指している。 これらのアッセイ系の確立を進める一方で、EMTが活性酸素種に影響を受けることが知られているが、放射線刺激や大気圧プラズマの刺激など細胞内酸化ストレスを引き起こす処理でどのようにEMTの誘導や促進が起こるのかについての解析を始めた。また、治療抵抗性が高いと言われるCSCについて、CSC培地で培養した癌細胞がどの程度の放射線抵抗性や大気圧プラズマ抵抗性を示すかについての解析にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、TGF-βを加えた培養液での培養によるEMTの促進がうまくいかず、かなり長い時間を取られた。結局は、培養細胞数を抑え、培地交換頻度を上げ、さらに培養日数を長く取り(最大で1ヶ月間くらいまで検討)培養を行うことにより検討を続け、現在は比較的安定した結果を得られるようになった。また、CRISPR-Cas9によるゲノム編集でのアッセイ細胞の構築は相同組換え用のベクターの構築でもマーカー遺伝子下流に2A配列を介してインフレームでレポーター遺伝子を導入するため、その設計や構築に予定よりも多くの時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
とりあえずは、アッセイ系の立ち上げに注力したい。現在、EMTとCSCのユニークな可視化を目指しているが、これを確立させることを最重点課題として進めていく。その後、確立したアッセイ系を利用して、EMTからCSCの形成に大きな影響を与えうる遺伝子について、可能であればsiRNAライブラリを利用してその同定を試みる。これらと並行して、放射線や大気圧プラズマなどによる酸化ストレスの刺激が細胞に与える影響についてEMTおよびCSCの形成という観点からどのような影響があるかについて解析を行なう。また、同様に、CSCの放射線に対する感受性の解析についても進めていきたい。最終的には癌細胞の形質転換に重要な働きをするEMTを制御することでCSCの形成、さらには腫瘍全体が示す治療抵抗性を制御したい。さらに、EMTだけではなく、CSCを直接的に標的としてこれまでに知られているCD44v以外の治療抵抗的に機能する遺伝子の同定も試みたい。
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Causes of Carryover |
1年目、研究が当初予定してたほどは進まず、必要な消耗品に使用する研究費が予定よりも少なかったことと、2年目に費用がかさむ実験を計画しているため多少でも1年目の研究費を2年目に回せればと考えたため。
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