2018 Fiscal Year Research-status Report
アセチルグルコース修飾ゲフィチニブの放射線増感機序の解明と新規増感剤の創製
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17K10480
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都 義浩 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20304553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 久嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (80512764)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線増感剤 / エルロチニブ / アセチルグルコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究である「アセチルグルコース修飾ゲフィチニブの放射線増感機序の解明と新規増感剤の創製」は,UTX-103の抗腫瘍活性や放射線増感活性の詳細な機序を明らかにし,腫瘍移植鶏卵モデルおよびマウスモデルを用いて放射線増感剤としての有用性を評価してより最適なリード化合物を設計・合成し,臨床利用が可能な放射線増感剤の創出を行うものであり,平成30年度の計画は、ゲフィチニブ誘導体UTX-114の詳細な作用機序の解明と腫瘍移植鶏卵モデルを用いたin vivo活性の評価である。今年度の研究成果として,UTX-114はHepG2細胞に対してGLUT阻害剤サイトカラシンBと同程度の強いグルコース取込阻害活性を示した。よって、UTX-114はニトロイミダゾール基の酸素類似体としての作用に加えて、グルコース取込阻害を介して解糖系を阻害することで放射線増感活性を発揮することが示唆された。しかしながら、肺がんに対するゲフィチニブと放射線の併用は重篤な副作用が報告されているため、ゲフィチニブ誘導体UTX-114も同様の副作用が懸念される。そこで、ゲフィチニブと同様に上皮成長因子受容体 (EGFR) のチロシンキナーゼ阻害剤であるエルロチニブをリード化合物として選択し、アセチルグルコースを修飾したエルロチニブ誘導体UTX-119を分子設計・合成した。UTX-119のA549細胞に対する毒性は100μM未満では見られなかった。また、細胞内動態試験の結果、細胞内でアセチルグルコースとエルロチニブ誘導体が解離し、UTX-119の代謝物の取込量が添加24 h後で最大となった。さらに、UTX-119はエルロチニブよりも有意に高い放射線増感活性を示した。以上の結果より、アセチルグルコースを導入することでゲフィチニブと同様にエルロチニブでも放射線増感活性を付与することができることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記載の通り,平成30年度の計画であるUTX-114の詳細な作用機序の解明およびエルロチニブをリードとした新規誘導体UTX-119の分子設計・合成・活性評価を達成しているが、腫瘍移植鶏卵モデルを用いたin vivo活性の評価は検討したもののポジティブな結果を得ることが出来なかったため、このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,腫瘍移植鶏卵モデルを用いて新規ゲフィチニブ誘導体UTX-114およびエルロチニブ誘導体UTX-119の薬物動態解析および放射線増感活性の評価を実施し,QSARによる放射線増感剤候補薬剤の創出を目指す。
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Causes of Carryover |
腫瘍移植鶏卵モデルでの評価に供した化合物の数が想定より少なくて済んだため,合成および評価実験にかかる費用が削減できたためである。この次年度使用額については、腫瘍移植鶏卵モデル評価およびQSARを実施するために必要な誘導体の合成に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)