2017 Fiscal Year Research-status Report
IMRTなど高精度放射線治療に適用する呼吸停止下照射システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
17K10481
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
柴田 徹 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (40293857)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線治療学 / 癌 / 放射線 / 強度変調放射線治療 / 画像誘導放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
IMRTを始めとする高精度治療に広く適用可能となる呼吸停止下照射システムの開発を目指し、以下の順で研究を行った。(1)4D-CTによるデータを基に、ウエアラブルディスプレイやCCDカメラ、パーソナルコンピュータなどの汎用性の高い廉価な民生用機器を応用した呼吸波形の送信と受信機構のハードウエア開発とその実験的運用に関する検証(2)医療用リニアックシステムに干渉しない、有線接続から取り回しに良い無線接続機構への移行可能性に関する検討(3)被検者(患者)が自らの意志で呼吸停止が可能となるための有効な呼吸位相情報のフィードバック機構の実効性検証(4)呼吸停止下での腫瘍位置の再現性の確認、標的体積やリスク臓器の重心位置の偏位と線量分布への影響に関する後方視的検証である。 初年度は、呼吸停止下照射システムの構成部品の適合可能性について、呼吸情報の送信側として民生用CCDカメラを購入し、操作室内のディスプレイ画面を受像送信できる様に設定した。また、受信側として2種類のウエアラブルディスプレイを持ち込んで、リアルタイム画像情報として受像できることを確認した。患者への適用を視野に入れて、既に本学倫理委員会にて「息止め法を用いたCT治療計画における腫瘍位置再現性に関する研究」を自主研究の院内プロトコールとして承認済みである。治療応用として、胃原発MALTリンパ腫などで全胃照射を行う場合に、従来から4Dデータを元に治療計画を施行(自由呼吸下)していたが、患者への十分なコーチングと説明同意を得て呼気息止め法による照射を計画した。全5名の患者で良好な呼吸停止が可能であった。本システムの構築により、標的体積が大きいため利用が不可能であったノンコプラナー照射を利用して標的形状に合わせた線量投与と肝、腎、腸管、心肺などリスク臓器の被照射体積の有意な減少を達成した。全例で腫瘍制御が達成されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
呼吸停止下照射システムの基盤となる呼吸波形を送信するための画像入力や送信、受信を司る機構としてCCDカメラ、ウエアラブルディスプレイシステムの調達と調整が概ね実施できている。上述の通り、院内IRB承認済みプロトコールによる胃原発悪性リンパ腫に対して当該システムの応用を開始できている。現在までは良好な患者の同意と協力が得られたことで、呼吸停止により十分なる標的位置の再現性が得られている。従って、初年度としては概ね順調に推移しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2種類のウエアラブルディスプレイの性能比較を実施中であり、システム間の送受信のタイムラグの詳細な検証、被験者への信号及び指示伝達などフィードバック機構の洗練化などの課題について、最適化を図る予定である。また、得られたデータから標的体積やリスク臓器の重心位置の偏位と線量分布への影響に関する後方視的検証を継続する。引き続き、予定通りの研究計画を推進する。
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Causes of Carryover |
(理由と使用計画) 研究に必要な備品(CCDカメラシステム、ウエアラブルディスプレイ、その他)を調達したが、モデルチェンジによる旧機種の購入や同等機能の格安製品を購入することに努め、結果としてかなりの経費の削減がなされた。研究計画自体は順調に遂行できており、経費節減により得られた若干の剰余金も、次年度の計画において余裕を持った予算計画において使用できると考える。
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Research Products
(10 results)