2018 Fiscal Year Research-status Report
体幹部放射線治療における呼吸性移動 -四次元アルゴリズム解析と治療法の標準化-
Project/Area Number |
17K10486
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
幡多 政治 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60285145)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 体幹部 / 呼吸性移動 / 呼吸同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファントムや呼吸同期プラットフォームなどを用いて、移動する標的の吸収線量の検証を行った。まず初めに、自由呼吸下での腫瘍の移動を再現するため、標的としてファントム内に直径30mmの疑似腫瘍を設定し、その中心に線量計を配置した。次に、このファントムを呼吸同期プラットフォームに設置し、振幅を40mm、回数を1分間に12回の条件で、実際の呼吸に模した動きで標的を移動させた。そして、放射線治療で用いられるリニアックの寝台上で、照射野の中心を疑似腫瘍の中心に合わせた後、静止状態および前述の条件で標的を移動させながらX線を照射し、吸収線量の測定を行った。照射野は正方形で、一辺を60~40mmまでの範囲で徐々に縮小し、静止状態と標的移動下での吸収線量をそれぞれ測定した。標的の移動が40mmのため、照射野が60mmだと、最大移動時でも標的中心(線量計の位置)から照射野縁まで10mm余裕があることになり、40mmだと、標的中心が丁度、照射野縁まで移動することになる。結果として、照射野が60mmの場合は、静止時と標的移動時の吸収線量の差は相対値で1%未満であったが、照射野が40mmに近付くにつれ、例え標的中心が常に照射野内にあっても、標的移動時の吸収線量の相対的な低下が見られた。 以上の結果は、照射野内の吸収線量は均一ではなく、照射野縁近くで低下することに起因すると考えられた。また、静止状態で照射野の大きさを変えて、照射野縁近くの吸収線量を測定したところ、照射野縁までの距離が同じでも、照射野が小さくなると極端に低下するというデータが得られた。これらの結果より、腫瘍の吸収線量を十分に担保するには、腫瘍の移動距離だけではなく、使用する放射線ビームの条件に合わせた照射野マージン(最大移動時の腫瘍位置から照射野縁までの距離)を設定する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに追加した分も含め、十分な基礎実験が必要と考えられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる呼吸同期に関する基礎的な検証データの蓄積が必要であるため、引き続きファントムと呼吸同期プラットフォームを使った実験を続ける。
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