2017 Fiscal Year Research-status Report
治療応答性分子を標的とする新しいRI治療コンセプトの実証研究
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17K10497
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
須堯 綾 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 技術員(任常) (00415415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 標的アイソトープ治療 / 膵臓がん / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々のこれまでのRIT研究の過程で、抗がん剤やRITにより、発現が誘導される細胞膜表面分子があることを見出した。過去に、抗がん剤やRIT等の治療により発現が下がるものは数多く報告されているが、発現が上がるものは少ない。本研究では、抗がん剤等の治療に応答し発現が上昇するがん細胞の膜表面に存在する分子(治療応答分子)を標的とした新しいコンセプトに基づいた標的アイソトープ治療(TRT)の開発のために最適な標的分子の探索・発現誘導パターン解析をまず行い、シミュレーションによる治療プロトコル作成とその治療効果の検証を膵がんモデルマウスで行い、最終的には、様々な治療法で利用できるアルゴリズムの樹立を目指す。 膵がん細胞株のBxPC-3をオスのヌードマウスの皮下に移植し、膵がんのモデル動物を作成した。抗がん剤には膵がんの治療に使われ、放射線増感効果もあるgemcitabineを選択した。文献を参考に体重あたりgemcitabineを120または240mg/kgをモデルマウスに投与し、腫瘍サイズの計測を行った。また1、3、7日後の腫瘍と未治療の腫瘍をサンプリングし (n=3)し、パラフィン包埋標本を作成した。抗がん剤による発現誘導される分子候補(治療応答分子候補)のうち、膵がんで発現が確認されているCD147を標的分子として選択し、免疫染色を行い、CD147の発現誘導を調べた。放射線増感効果を確認するためgemcitabine投与後にX線を5、15、30Gy照射した腫瘍サイズの計測も行い、gemcitabineのみの治療群と比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的分子と抗がん剤を決定し、TRT治療実験の対照実験となる外照射治療実験が終了したため、研究は当初の予定通り順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
標的分子(CD147)を認識する抗体をガンマ線放出核種のIn-111で標識し、膵がんモデルマウスで、抗がん剤投与により、抗体(RI)の腫瘍集積を含めた体内動態の変化を検証する。タイムポイントは、投与後30、1日、2日、4日、7日で、n=5とする。このデータを元に、治療核種として想定しているβ線放出核種であるY-90,Lu-177等で標識した場合の腫瘍及び正常組織への被ばく線量を推定する。この線量を元に放射性標識抗体治療の核種と投与量を設定する。別実験で、予め、X線部分照射による各膵がんモデルマウスの放射線感受性を調べておく。
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Causes of Carryover |
モデル動物の作成に時間がかかり、年度末までに治療実験が開始できず、治療実験に使うRI核種を購入予定だったが、半減期が短いためあらかじめ購入できなかった。
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