2018 Fiscal Year Research-status Report
D-アロース多段階使用による膵島移植成績向上の研究
Project/Area Number |
17K10515
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 康之 香川大学, 医学部, 教授 (40304092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 雅明 香川大学, インターナショナルオフィス, 教授 (10163974)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵島移植 / 希少糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病に対する膵島移植成績向上を目指し、膵島分離・移植の過程で、活性酸素産生抑制作用のある希少糖 D-アロースを諸種の方法で使用し、有効性が 認められた手法を多段階に使用する事でこの課題を解消することを目的として研究を進めている。 研究代表者らが科学研究費(基盤研究C 平成23年度)で行った実験で、D-アロースを添加したラ ット膵島培養(overnight culture)により膵島のインスリン 分泌能が有意に改善され、1型糖尿病ヌードマウスへの膵島移植による糖尿病治癒率が有意に高値を示した(72.7% vs 9.1% p< 0 . 0 1 )。 膵島中の酸化ストレスの指標である Malondialdehyde ( M D A ) 値から、 D-アロース の持つ抗酸化作用がその機序として示唆された(0.49±0.42 vs 11.3±5.5 nmol/mg protein, p<0.01)(J Hepatobiliary Pancreat Sci, 23(1), 37-, 2016)。 次いで、レシピエントとなるSTZ誘導糖尿病BALB/cマウスの尾静脈より移植48時間前、24時間前、直前に D-アロースを投与する投与群と非投与群に分け、 同系マウスより分離した膵島15IEQ/gを腎被膜下に移植し、移植後21日目の平均血糖値は投与群、非投与群で各々101mg/dL, 267mg/dLであり、血糖正常化率は 各々100% (9/9), 45% (5/11)と、いずれも有意差を認めた。現在、有効性の機序について研究を進めている。8-OHdGによる移植膵島染色 など行っているが、依然機序解明に至っていない。間接的ではあるが、apoptosisの評価を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 レシピエントへのD-アロース投与実験(基盤研究C 平成26年度)における機序の解明実験は、異動した大学院生が異動先で診療の合間に進めていた。機序の解明については、これまで条件を変更して移植後7日目と3日目の膵島移植腎を用いて8-OHdG免疫染色による検討を行ってきたが、明らかな機序の解明には至っていない。また、TUNEL染色を用いて間接的にapoptosisの評価を行なっているが、現在のところ有意な差は認められず、追加の検討が必要な状態である。
平成29, 30年度はドナーとなる同系マウスを D-アロース投与群と非投与群に分け、投与群には膵摘出の 48 時間前、24 時間前、膵臓摘出直前に D-アロースの 静脈内投与を行い、膵臓を摘出、膵島分離を行い、膵島収量や形態学的な評価 を行って非投与群とin vitroで比較する予定であったが、上記した前段階の研究 (レシピエントへの投与実験)を遂行し結論を出す必要があった。また、研究者が異動し変更になったことにより、安定的な膵島分離・移植手技のトレーニングに時間がかかり、研究はやや遅れているが、再開の目処は立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
レシピエントへのD-アロース投与実験(基盤研究C 平成26年度)における機序の解明実験は、異動した大学院生が異動先で診療の合間に進めていた。機序の解明については、これまで条件を変更して移植後7日目と3日目の膵島移植腎を用いた8-OHdG免疫染色や、移植後3日目の膵島移植腎に対してTUNEL染色による病理学的検討を行ってきたが、明らかな機序の解明には至っていない。移植後より短い期間(数日単位、数時間単位)で摘出した膵島移植腎を用いた追加実験を検討中である。また、他の染色方法を用いた評価を検討中である。
ドナーへのD-アロース投与実験については、再開の目途が立ったため、研究はやや遅れていたが、予定していた移植実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は技術手技習得に時間を要し、予定していた実験に着手できず次年度使用額が生じた。
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