2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of the new cancer immunotherapy using iPS-DC which inhibited immune checkpoint
Project/Area Number |
17K10521
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80364090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10322372)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / iPS細胞 / 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞は、免疫チェックポイントを活性化することにより宿主の免疫逃避機構を働かせ、腫瘍増殖を来す。我々は、以前より癌特異的ワクチン療法として、樹状細胞療法の有用性を報告してきた。そこで、本研究は、免疫逃避に重要な役割を担うPD-1およびCD47の二つの免疫チェックポイント分子を阻害させるために、iPS(induced pluripotent stem cell)細胞から誘導した樹状細胞(DC)にPD-1 のリガンドであるPD-L1、PD-L2のsiRNA (small interfering RNA)およびCD47のリガンドであるSIRPαのsiRNAを導入することにより、二つのアプローチから免疫抑制状態を破壊することで免疫環境を改善し、さらに効率で強力な細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導し、腫瘍特異的抗腫瘍効果を増強する癌免疫療法を構築することを目的にしている。 本年度は、PD-L1siRNA,PD-L2siRNAを組み込んだadenovirus vectorを用いて、 DCにPD-L1siRNA、PD-L2siRNAを導入し、そのDCからのPD-L1、PD-L2およびSIRPαの発現実験を行った。しかし、その発現解析が進まず(抑制効果が不十分かつ不安定)、 adenovirus vectorによる遺伝子導入からelectroporation法に変更し、遺伝子導入の改善およびその条件設定の検討を行っている。現在、iPS由来DCにelectroporation法を用いてCEA遺伝子を導入する実験系を施行し、結果、導入効率は良好で、そのDCの機能(遊走能、細胞傷害活性)が担保されていることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスiPS細胞由来DCにPD-L1siRNAおよび PD-L2siRNA発現adenovirus vector、SIRPαsiRNA発現adenovirus vectorを感染させ、それぞれの細胞からのPD-L1、PD-L2およびSIRPαの発現実験を試みているが、その過程が進まない状況であり、PD-L1、PD-L2およびSIRPαが抑制される至適条件が定まっていない。遺伝子導入法、およびその至適条件の設定に時間を要し、siRNA導入iPSDCにおける抗腫瘍効果の実験系が行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
siRNAの導入方法を改良し、種々の条件で検討を進め、PD-L1siRNA、PD-L2siRNA、SIRPαsiRNAをそれぞれ導入したCEA発現iPSDCの作製を早急に遂行し、至適なPD-L1、PD-L2およびSIRPαの抑制条件を決定する予定である。それが判明すれば、siRNA導入iPSDCにおける抗腫瘍効果の実験系が順調に進むことができると考える。また、同時に臨床応用に向けたヒトにおける抗腫瘍免疫応答を検討するため、ヒトiPS細胞由来DCを用いた実験系を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、実験試薬、遺伝子操作用試薬・酵素および抗体の一部が当教室の在庫で代用でき、また、国内外の学会出張を抑えたため、次年度使用額が発生した。次年度は抗腫瘍効果の検討に入るため、実験動物やラジオアイソトープ等に費用がかかると考える。また、次年度が最終年度のため、研究結果発表のための学会出張費および論文投稿費が大きく必要になると考える。
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