2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K10548
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 力 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (80236471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩文 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30322184)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 温熱療法 / 磁気温熱療法 / 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
温熱療法は抗癌剤の増強効果や免疫賦活作用を有する。スーパーアパタイト超微細ナノ粒子 (sCA: super carbonate apatite) は核酸運搬用に開発された生体内作動性 DDS (Drug delivery system) であり、様々な治療剤を搭載し良好な治療効果を報告してきた。本研究では1. sCA を用いた磁性ナノ粒子併用温熱療法の効果について調べる 2. 温熱療法における免疫チェックポイント分子発現について調べる 3. sCA を用いた in vivo 温熱治療の効果増強を目標に掲げ、温熱療法の新しい癌治療を切り開くことを目的とした。これまでに、以下の成果が得られている。①酸化鉄は効率的にsCAに内包でき、マウス担癌モデルにおいて、局注ではあるがsCAに内包された酸化鉄は腫瘍によく集積することが明らかになった。②マウスの大腿に植えた腫瘍MC38は3日連続の温熱治療によりmassiveなネクローシスを来し、残存腫瘍はPD-L1の著しい発現亢進を示した。③PD-L1 siRNAによって、マウス担癌モデルで抗腫瘍効果を認めた。④温熱治療によって抗酸化ストレス分子NRF2や抗アポトーシス分子であるMCL1が誘導され、温熱に耐えて細胞が生き残る耐性機構を発揮することが分かった。温熱に先だってこれらの分子をノックダウンしてから温熱を加えることで耐性機構を骨抜きにして大きなダメージを癌細胞に与えることができることがわかった。⑤数例の臨床サンプルにて温熱治療によりCD8+ Tcell, PD-L1が誘導されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に示したように当初の計画を上回る多彩なデータが得られている。これまでに①温熱により細胞防御的に働く分子群を調べて事前に核酸治療でこれらの影響を排除して温熱治療を行うことで一層の効果が得られることが分かり、分子温熱療法と名付けた。②PD-L1の温熱後の癌細胞での発現亢進は、マウス大腿腫瘍のみならず大腸癌、乳癌、膀胱癌などの患者さんから提供されたヒトサンプルでも確認できた。PD-L1を免疫チェックポイント阻害剤やsiRNAで抑制することで、温熱によるCD8+Tcellの活性化がより効果的に働く可能性があるとの道筋ができており、最後の1年でこの点を明らかにできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、 (1)これまでに局注で行っていた酸化鉄局注後の電磁波治療を静脈投与で行い、sCA併用でどれほどの治療効果の上乗せがあるかを明らかとする。(2)マウス担癌腫瘍(MC38)に温熱治療を施し、PD-L1を阻害することでどれほどの治療効果の上乗せが得られるかを明らかにする。(3)NRF2-siRNAのように温熱で細胞保護的に働く分子を予め阻害することで温熱の効果が高まるというケースの他に、抗腫瘍効果をもつことが分かっている核酸医薬(例えばmiR-29bなど)の治療効果を温熱が高めるという別の使い方もあり、これらの複合的なメカニズムを踏まえて分子温熱療法の概念を提唱し、論文を作成する。
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Research Products
(9 results)