2017 Fiscal Year Research-status Report
内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術における根治性・安全性の向上に関する研究
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17K10554
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中条 哲浩 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (20404486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 吉陽 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (20725733)
田上 聖徳 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (50721031)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 甲状腺内視鏡手術 / 内視鏡頸部郭清 / 頭側尾側アプローチ / 2方向アプローチ / BAVANS |
Outline of Annual Research Achievements |
先行する2つの研究(H23年度~挑戦的萌芽研究、H25年度~基盤C)で甲状腺悪性腫瘍に対する新しい術式を開発し、これまでの内視鏡手術では不可能であった内視鏡下の気管周囲完全郭清を可能にしたが、本研究では、次なるステップとして2方向アプローチによる気管周囲郭清を改良・発展させて安全性と根治性を飛躍的に向上させることと、いよいよ内視鏡下の頸部外側区域完全郭清を行うための専用器具の開発を行うことである。平成29年度の研究開発では4つの新しい手術用器具の開発を計画した。 ①耳介付近から前頸部に到達するための専用アクセスポートの開発 ②前胸部から下顎付近までの前頚部に至る皮下トンネルの内腔保持・周囲組織保護のための専用リトラクターの開発 ③すでに開発した視野確保のための分解・着脱式鋼線筋鉤のさらなるBrush up ④前胸部創から挿入し、気管周囲の視野展開に用いる特殊鉤の開発
①については耳介付近からのアプローチを前顎部からのアプローチに変更し、新しい専用アクセスポートを開発した。②については研究期間中に市販のリトラクタ―が販売されたため、急遽甲状腺上極剥離に関する専用鉤の開発に切り替えた。③については医工連携を進めて、これまでの弱点を克服し、完成度の高い着脱式鋼線筋鉤のプロトタイプが完成した。④についてもプロトタイプを完成され、現在試用・改良中である。この研究期間中に当該手術の保険適応が決定し、本研究の重要性がさらに高まった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度計画は下記の4つの手術器具のプロトタイプを作製し、実際にそれを試用することであった。 ① 耳介付近から前頸部に到達するための専用アクセスポートの開発: これについては当初の計画では耳介付近からのアプローチを想定していたが、現状では前頸部(下顎)からのアプローチが最適と判断しアクセス部位を変更した。そのため、前頸部からの専用アクセスポートのプロトタイプを作成し、試用している。このポートにより頸部郭清の操作性が劇的に改善した。 ② 前胸部から下顎付近までの前頚部に至る皮下トンネルの内腔保持・周囲組織保護のための専用リトラクターの開発: 我々の想定していた専用リトラクタ―が、研究期間中に日本のメーカーから市販されたため、これを使用している。この分の研究予算については、新たに甲状腺上極を剥離する上極剥離鉤の開発にコンバートしている。 ③ すでに開発した視野確保のための分解・着脱式鋼線筋鉤のBrush up: 前研究(口腔内アプローチによるによる新しい内視鏡下甲状腺切除術式に関する研究:H23~24 年度 挑戦的萌芽研究)で開発し、すでに特許を取得した穿刺・着脱式鋼線筋鉤をさらにブラッシュアップし、操作性をかなり向上させた製品を医工連携により本年度に新しく作成した。これにより、本筋鉤の市販化が現実的となった。 ④ 前胸部創から挿入し、気管周囲の視野展開に用いる特殊鉤の開発: 現在プロトタイプを作成し、試用している段階で、更なる改良を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
〇これまでに開発した 専用アクセスポート、専用リトラクター、特殊鉤 など、各器具の微調整を行う。各々の試用で指摘された問題点を検討し、改良点を指摘する。改良型の作製・試用を重ねることでさらなるBrush up を行い、各々の器具の最終型を確立する。 〇術式の最終型の確立と論文発表 上記器具を効果的に用いた本術式の最終型を確立し、英文医学雑誌に発表する。現時点で本術式(気管周囲のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍手術)には3 時間~4 時間を要するが、最終的には安全性を格段に高めながら容易な操作で手術時間の短縮を図る。 〇国際学会での発表 論文発表とともに各種国際学会および国内学会での報告を行う。 このような場で世界の内視鏡外科医に批評を受け、意見を出してもらうことで本術式のさらなる改善点を見いだし、悪性腫瘍に対する甲状腺内視鏡手術の標準手術式のひとつとしての地位を確立していく。
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Research Products
(5 results)