2020 Fiscal Year Research-status Report
Wnt/β-cateninシグナルを標的としたトリプルネガティブ乳癌の化学予防
Project/Area Number |
17K10556
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大竹 徹 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50363750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 洋和 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20583397)
立花 和之進 福島県立医科大学, 医学部, 学内講師 (50583598)
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wnt/β-cateninシグナル / トリプルネガティブ乳癌 / 化学予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wnt/β-cateninシグナルは細胞の分化、形態形成を制御する。そのシグナルは受容体から細胞内のDvl、GSK3β、Axinへと伝達され、β-catenin転写いんしTCFとの複合体の形成と、それに続くc-myc、c-jun、cyclinD1などの標的遺伝子の発現を促進する。興味深いことに、Wntシグナルは正常乳腺上皮細胞株と比較し、異型乳腺過形成細胞株において活性化することが報告されている。このことから、Wntシグナル活性化が乳腺の腫瘍形成初期段階において発癌のドライバーとして働く可能性が考えられた。生物学的・臨床学的悪性度が高く、治療抵抗性であるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)において、Wnt/β-cateninシグナルが顕著に活性化しており、またそのシグナル以上は発がんの極めて初期段階に生じている。非ステロイド系消炎鎮痛薬やアルシュの天然有機化合物など、臨床的に忍容性の高い薬剤が、Wnt/β-cateninシグナルおよびその活性化に伴う発癌促進的な炎症性生理活性物質を抑制し、TNBC発癌抑制につながると考えている。本研究では、網羅的データ解析と乳癌発癌モデル細胞システム、TNBC細胞株を用いて、Wnt/β-cateninシグナルが誘導する炎症半連分子を特定するとともに薬剤による阻害効果を検証し、乳癌とその前がん病変を含む臨床検体でもそれらの分子の意義を検討することで、TNBCの化学予防の可能性を追求する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Wnt/β-cateninシグナルが標的とする関連遺伝子の抽出及び解析は予定通り進行しているが、手術検体を用いた免疫染色並びに評価、臨床病理学的因子との関連性の解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き当院での乳癌手術検体のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて、Wnt/β-cateninシグナル関連遺伝子の免疫染色を行い、各種臨床病理学的因子や夜ごとの関連の解析を促進する。更に乳癌細胞株、乳がん発癌モデル細胞株を用いて、siRNAによるβ-cateninのノックダウン実験およびWntシグナルを阻害するNatural compoundを投与し、その機能を研究する。 更に、Wnt/β-cateninはクラスリン分子により調節されるとの報告があったため、クラスリン分子とWnt/β-catenin関連分子との関係性の研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は手術摘出標本の免疫組織染色ならびに臨床病理学的検討を行った。しかし、COVID-19感染症拡大による対応により研究の停滞がみられた。 現在COVID-19感染症がつづいており、当院も受け入れを行っている状況ではあるが、徐々に状況が改善してきているため、研究の促進を行っていく。
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