2017 Fiscal Year Research-status Report
新規モデル系を用いた癌の神経浸潤における細胞間相互作用因子の探索
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17K10557
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岡本 理志 横浜市立大学, 医学研究科, 特任講師 (50509106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70292555)
上野 康晴 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60375235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 神経細胞 / 神経堤細胞 / 癌細胞 / 神経浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ヒトiPS細胞由来神経堤細胞より神経細胞を効率良く分化誘導する方法を検討した。当初は、培養中の神経堤細胞を酵素で剥離し、分散させた状態、もしくは、sphere形成させたのちに、マトリゲル±ポリリジンコーティングした培養皿上で培養する方法で培地組成等を検討したが、神経細胞以外の細胞も多く誘導される、もしくは、神経堤細胞が増殖するため、以後の解析には不適当と考えられた。そこで、神経堤細胞をsphere形成させた後に、マトリゲル包埋中での培養を検討したところ、長い神経突起進展が多く見られ、また、その他の細胞の増殖進展があまり認められなかったことから、神経細胞が効率良く誘導されたと考えられる。神経細胞の確認は、Tuj1等、免疫染色で実施した。 次に、ヒトiPS細胞由来神経細胞と腫瘍細胞の共培養系の検討を実施した。上記と同様、ヒトiPS細胞由来神経堤細胞をsphere形成させた後に、まず神経堤sphereをコーティングフリーな培養皿上で、マトリゲル中に包埋し、続いて膵癌細胞株を神経堤sphereから1~2 mm程度の距離を開けて播種した後に、上からマトリゲルを重層した。すなわち、マトリゲル包埋中での神経堤細胞と癌細胞株との共培養系を検討した。その結果、膵癌細胞株の存在下においても神経堤sphereから神経突起の伸長が多く観察された。一部では、癌細胞が神経突起に沿って増殖・進展する様子が観察された。また、神経突起を直接足場として移動する様子も観察された。一方、癌細胞増植が向神経性を示すか、神経突起伸長が向癌細胞性を示すかについては、明確な結論は得られなかった。 また、ヒトiPS細胞由来神経堤細胞よりシュワン細胞への分化誘導検討を実施した。これについては、さらなる検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ヒトiPS細胞由来神経堤細胞より神経細胞を分化誘導する方法、および、神経細胞と腫瘍細胞との共培養系を確立した。また、神経堤細胞よりシュワン細胞への分化誘導系検討を実施した。 神経細胞と腫瘍細胞との共培養系では、腫瘍細胞が神経突起に沿って移動する様子が確認でき、先行研究で報告されているDRGと癌細胞株との共培養系を模倣できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞由来神経細胞と癌細胞株の共培養系において、DRG由来神経細胞と癌細胞との共培養系で見られた、癌細胞増植の向神経性増殖・進展、および、神経突起伸長の向癌細胞性は確認できなかった。このため、DRGと癌細胞との共培養系との比較を検討する必要があると考えられる。 また、当初計画通り、ヒトiPS細胞由来神経細胞と腫瘍細胞が相互作用している領域での、膜タンパクやケモカイン/受容体、細胞接着性タンパク等の発現解析を実施する。
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Causes of Carryover |
試薬・消耗品の販売キャンペーン適用等により、当初計画との差額が生じた。残余金は次年度に使用する計画であり、研究データの厚みを増すための追加実験に充足予定である。
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