2017 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms responsible for the development of acquired resistance to endocrine therapy in breast cancer
Project/Area Number |
17K10566
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10248255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 卓也 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00230160)
鹿股 直樹 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (60263373)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 乳癌 / 内分泌療法 / 抵抗性 / エストロゲン枯渇 / 抗エストロゲン薬 / エストロゲン受容体 / ヘッジホッグシグナル / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、エストロゲン感受性乳癌細胞株MCF-7を6カ月間の長期にわたり1) 低酸素培養下、2) エストロゲン枯渇下、3) 抗エストロゲン薬(4-OH-tamoxifen [4-OHT], fulvestrant [FUL])曝露下、4) これらの組み合わせ処理下、合計8条件で細胞培養を行なった。培養開始後2カ月毎に、エストロゲン・抗エストロゲン薬に対する増殖反応性(エストラジオールや4-OHT, FULの細胞増殖に与える影響)、ERシグナル伝達経路(ER-α, PgR, TFF-1のmRNA発現量)、CSC比率(CD44/CD24アッセイ、マンモスフェアアッセイ)、CSC制御因子であるヘッジホッグシグナル伝達の関連因子(SHH, Gli1, Gli2)のmRNA発現を経時的に検討した。その結果、すべて条件下で経時的にエストロゲンや抗エストロゲン薬に対する反応性の低下が観察された。しかし、CSC比率の変化は一定の傾向は認められなかった。興味深い所見としては、1) エストロゲン枯渇下処理により樹立された内分泌療法耐性乳癌細胞株と親株を比較したところ、ER-αの発現亢進とエストロゲン非依存的なER-αの活性化(PgR, TFF-1の転写促進)がみられた。2) 抗エストロゲン薬(FUL)曝露下で樹立された内分泌療法耐性乳癌細胞株と親株を比較したところ、ヘッジホッグシグナル伝達の関連因子(SHH, Gli1, Gli2)のmRNA発現の増加が認められた。今後さらに、EMT関連因子やヌードマウス移植能の変化についても検討する予定である。また、次年度は、予定通り内分泌療法耐性乳癌細胞株と親株を比較するmRNA expression microarrayを行い、網羅的に遺伝子発現の変化を検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8種類の条件下の長期培養実験により、複数の内分泌療法耐性乳癌細胞株が樹立され、異なるシグナル伝達の変化が観察された。しかし、それらの耐性細胞においてCSC比率の変化には一定の傾向が認められなかった。今後は、網羅的な遺伝子解析を用いて、CSCやEMT制御に係る様々なシグナルの変化を確認し、内分泌療法耐性を誘導する要となるシグナルを同定したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
複数の内分泌療法耐性乳癌細胞株の親細胞株とのエストロゲン・抗エストロゲン薬に対する増殖反応性、ERシグナル伝達経路、CSC比率、ヘッジホッグシグナル伝達の関連因子の発現の違いを再確認し、さらに、網羅的な遺伝子解析を追加する。また、in vivoにおける造腫瘍能の変化も検討したい。その後は、構築されたin vitro, in vivo内分泌療法耐性乳癌細胞に対する治療実験を行い、内分泌療法耐性の克服を可能とする治療戦略を探索したい。具体的には、ヘッジホッグ阻害薬(GANT61など)、CDK4/6阻害薬を候補薬剤として使用する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究はほぼ順調に進展中である。次年度は、予定通り内分泌療法耐性乳癌細胞株と親株を比較するmRNA expression microarrayを行い、網羅的に遺伝子発現の変化を検討する予定である。このマイクロアレイ実験には、予想以上の経費がかかると思われる。そのため、一部の研究費を次年度に持ち越した。
|