2017 Fiscal Year Research-status Report
乳癌における癌幹細胞性、免疫チェックポイント機構関連分子発現の意義と新規治療戦略
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17K10574
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
徳永 えり子 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 乳腺科部長 (50325453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 奈真 九州大学, 大学病院, 助教 (60608967)
田口 健一 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 臨床検査科医長 (40325527)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳癌 / 術前化学療法 / 腫瘍浸潤リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
九州がんセンター乳腺科にて、標準的レジメンによる術前化学療法を行ったStage I-IIIの原発性乳癌中で、ER、PgR、HER2発現が判明し、術前化学療法前の針生検標本、および、術前化学療法後の手術による乳癌組織が得られる症例を対象に以下の解析を行った。 ①トリプルネガティブ(ER、PgR、HER2)乳癌における解析 トリプルネガティブ乳癌においてがん幹細胞性マーカであるCD44v9やBRCA1, vimentinなどの発現を免疫組織化学(immunohistochemistry; IHC)にて解析し、サブタイプや臨床病理学的因子、治療効果、予後との関連を解析した。その結果、治療開始前のCD44v9発現と術前化学療法の組織学的治療効果との直接の関連は認められなかった。しかし、治療開始前にCD44v9高発現を認めた症例では、術前化学療法後の残存腫瘍のグレードが高くなっており、予後不良であることがわかった。 ②HER2陽性乳癌における解析 HER2陽性乳癌において、術前化学療法を行なった症例で、腫瘍免疫に関連すると考えられる腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte; TILs)と 免疫チェックポイント機構関連分子であるPD-L1の発現をIHCにて解析し、サブタイプや臨床病理学的因子、治療効果、予後との関連を解析した。その結果、術前化学療法開始前にTILsが多く認められた症例では病理学的完全奏効(pathological complete response; pCR)が有意に多いことがわかった。また、PD-L1発現陽性の腫瘍では高度のTILsを認めてもPD-L1発現陰性症例に比較してpCR率が低いことがわかった。これらのことからHER2乳癌において前化学療法の治療効果に腫瘍免疫が関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前化学療法症例では治療前、治療後の対象サンプルの収集が非常に重要である。 これまで、術前化学療法の意義が最も大きいと考えられるトリプルネガティブタイプ、HER2陽性タイプについて解析を進め、一定の結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析によって方法論的には一応確立したと考えられる。今後はより多数症例での解析が必要となる。術前化学療法症例に比較して、症例数も多く、サンプルの量が豊富な原発性乳癌の手術標本を用いて、これまで術前化学療法症例で解析して来た項目を中心に解析を進め、サブタイプや臨床病理学的因子との関連を詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度は解析手法の確立のために時間を要し、予定よりも解析症例がすくなかった。 しかし、解析方法がほぼ確立したため、今年度は予定通りの解析症例対象において解析可能であり、これを前年度使用予定分用いて解析予定である。
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