2018 Fiscal Year Research-status Report
The diagnostic performance and mechanisms of the release into the circulation of novel serum biomarkers for gastric cancer
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17K10581
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神田 光郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00644668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 千恵 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50589786)
小林 大介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30635595)
林 真路 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70755503)
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10345879)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胃癌 / 腫瘍マーカー / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行胃癌は高頻度に再発をきたす予後不良な疾患である。胃癌のスクリーニング、治療方針決定のための進行度診断、治療の効果判定、切除術後の再発モニタリングのいずれの場面においても、非侵襲的かつ簡便に採取可能な血清で測定が可能な優れた腫瘍マーカーの開発が必要である。胃癌診療現場では現在でもCEA、CA19-9などの古典的な腫瘍マーカーが使用されているが、これら既存の腫瘍マーカーは感度、特異性ともに物足りず、これらを凌駕する診断能を有する腫瘍マーカーの開発が個別化治療の時代の到来に際し急務と考える。研究代表者は多くのバイオマーカーを同定・報告してきたが、限られた検体数の後ろ向き解析から得られたものであり、今後体外診断用医薬品として商品開発を進めるにあたり、至適カットオフ値の設定を含め、複数の医療機関における大きな検体数でのvalidationが必要であった本研究では日本と韓国の国際共同研究により実現する大規模な検体数とデータをvalidation setとして利用し、ANOS1、MAGE-D2、DPYSL3の3分子の分子の胃癌血清腫瘍マーカーとしての有用性を検証することを目的としている。共同研究施設であるソウル大学では、高度な集約化システムによりきわめて多数の症例が均一化された治療を行っている先進的なHigh volume centerとして世界的に認知されている。前年度から行っていた前向きな症例集積は順調に進み平成30年度に予定通り症例登録を完了し、全収集検体を対象に、ANOS1、MAGE-D2、DPYSL3それぞれの血清値をELISA法によって測定した。ELISA結果をもとに、ANOS1、MAGED2、DPYSL3のそれぞれにおいて、測定された治療前血清値と臨床データとの相関解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト検体を使用した前向き臨床観察研究であるため、名古屋大学医学部附属病院および国際共同研究施設であるソウル大学がん研究所の倫理委員会承認のもと研究を遂行している。名古屋大学医学部附属病院、ソウル大学病院、ソウル大学Bundang病院において血清/組織検体およびCEA、CA19-9値を含む診療データの前向きな症例集積を行い、平成30年度に予定通り症例登録を完了した。収集された血清検体は参加施設間で同一の処理方法(採血管、採血後処理、保存方法)を徹底し、匿名化して定期的に当施設へ集約した。ANOS1、MAGE-D2、DPYSL3それぞれに対応したELISA kit(統一lot)を用いて、盲検下に血清検体中濃度を測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、得られたELISA結果をもとにANOS1、MAGE-D2、DPYSL3のそれぞれにおいて、測定された治療前血清値と臨床データとの相関性を解析する。特に、存在診断としての健常者コントロール群と胃癌症例群間の差、進展度診断としての進行度との相関性に着目する。また、顕微鏡的微小転移である腹腔細胞診陽性症例を術前にどの程度検出できるかという点も胃癌の腫瘍マーカーとして重要である。さらに、現在胃癌診療で汎用されている血清CEA、CA19-9値の解析結果と比較する。さらに、候補分子単独のみでなく、CEA、CA19-9を含めた複合的解析により相補的に診断能が向上できるか否かについても検討する。さらに、ANOS1、MAGE-D2、DPYSL3の組織・細胞内分布および細胞外移行の度合いを検討する。いかにして血中に移行するのかを探索する目的で、胃癌組織切片および胃癌細胞株を用いた実験を行う。免疫染色法により、対象蛋白発現の組織内局在(上皮側か、腫瘍先進部か、脈管/リンパ管浸潤部か)を評価する。さらに、胃癌原発巣組織中mRNA発現度を定量的PCR法で測定し、血清値との相関性を解析する。倫理委員会の承認のもと治療前血清をした食道扁平上皮癌、乳癌、肝細胞癌、膵癌、大腸癌症例において、血清ANOS1、MAGE-D2、DPYSL3値を測定し、胃癌以外の癌腫での血清値を調査し、胃癌に特異的なマーカーとなるのか、あるいは他の癌種においても有用性をもつ腫瘍マーカーとなるのかを確認する。
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Causes of Carryover |
ELISA kitの購入費用を効率化し完了できたため、次年度の細胞株実験および組織中発現解析の費用に使用する予定である。
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