2018 Fiscal Year Research-status Report
食道扁平上皮癌におけるエクソソーム解析を用いた化学放射線療法耐性メカニズムの解析
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17K10590
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古川 高意 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 専門研究員 (00736530)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / isomiR |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シークエンサーを用いた研究の発展により、miRの生成過程で成熟型miRから末端側の数塩基の付加、欠失を認めるisomiR(アイソミア)の存在が明らかとなった。isomiR は成熟型miR同様に組織内、血管内に安定存在し、新規バイオマーカーとして期待されている。 次世代シークエンサーを用いて当院で治療を行った食道扁平上皮癌患者(ESCC、n=48)と健常者(HC、n=42)より採取した血清のmiR/isomiR の発現を評価した。ESCC22 症例では手術前後の血清検体も同様に評価した。対象を2群に分け、第1群(ESCC=18、HC=12)で有意差をもって2倍以上のfold change を示したisomiRをバイオマーカーの候補とし、第2群(ESCC=30、HC=30)で再現性が認められるかを検討した。 第1群での検討において4871のisomiR が検出可能であり、診断マーカーの基準を満たすものは60認められた。第2群での検討で再現性が確認されたものは18であった。このうち成熟型miRも診断マーカーの基準を満たすものは2つのみであった。18のisomiRのうち手術前後の検体間で有意な差異を認めたのはisomiR-X のみであった。診断の正確性を示すROC 曲線のAUC は0.92(95%CI:0.89-1.0; p<0.001)であった。ROC曲線から求められたカットオフ値による感度、特異度はそれぞれ91.7%、88.5% であった。isomiR-Xは22症例中21 例で治療後は治療前に比べて低下しており、平均値の比較でも有意な低下が認められた(治療前:1549±1018 vs 治療後:242±230; p=0.03)。(発表前データのためisomiRの名前は匿名としている)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食道癌の新規バイオマーカーとなりうるisomiRが同定された。今後はqRT-PCRにて再現性が確認できるか、また組織での発現について確認し、研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの結果を踏まえて、今後は低酸素環境下でのマイクロRNAと腫瘍内血管新生と治療抵抗性の検討を進める。
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Causes of Carryover |
食道癌に特異的なマイクロRNAおよび血中isomiR(アイソミア)の同定はできたが当初の計画からは遅れが生じ、その結果次年度使用額が生じている。 これまでの結果を踏まえて、今後は低酸素環境下でのマイクロRNAによる腫瘍内血管新生と治療抵抗性との関連、DNA修復機構と細胞老化、治療感受性の検討を進 めていく。
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Research Products
(2 results)