2018 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌におけるCCN familyの網羅的解析と癌進展及び耐性メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K10596
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
長井 洋平 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (30551254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00594889)
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 特任講師 (20599708)
小澄 敬祐 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (50594884)
吉田 直矢 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60467983)
宮本 裕士 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (80551259)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CCN family / genetic change / epigenetic change / cancer metabolism / immunity / microbiome / predictive marker |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グローバルかつ膨大な消化器癌データベースを用い、消化器癌におけるCCN(Cyr61:cysteine-rich 61、CTGF:connective tissue growth factor、Nov:nephroblastoma overexpressed)familyの発現意義を解明し、新規治療法開発に寄与する事である。これまで食道癌切除例臨床検体を用いた解析により、食道癌癌部CCN4高発現群(免疫染色)はhigh-pT、cM、high-pStage、予後不良と有意に相関、陽性リンパ節個数、飲酒歴とは正の相関の傾向を認めた。次に癌進展機序を解明すべく、様々な分子病理学的因子、腫瘍免疫、マイクロバイオームとの関連を解析した。 癌のエピジェネティック異常のひとつにDNAメチル化異常があり、中でもゲノム全体の低メチル化は非常に重要である。LINE-1はゲノム全体の約17%を占める転移因子で、そのメチル化レベルはゲノム全体のメチル化レベルの指標となる。食道癌においてLINE-1低メチル化は予後不良と関連する可能性があり検討したが、CCN4発現レベルとLINE-1メチル化レベルに相関は認めなかった(P=0.50)。 次にマイクロバイオームに着目した。食道癌を含む消化管癌においてFusobacterium nucleatum(Fn)は予後不良と関連する可能性があり、関連解析を行った。検討症例中27%においてFn陽性だった。CCN4発現レベルとFnに相関は認めなかった(P=0.75)。 食道癌において、PIK3CA変異は予後良好と関連する可能性があるが、CCN4発現レベルとPIK3CA変異に相関は認めなかった(P=0.47)。 近年注目される腫瘍免疫関連マーカーであるIDO1発現とPD-L1発現に関しても検討したが、相関は認めなかった(P=0.89、P=0.39)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
詳細な分子病理学的因子(LINE-1メチル化レベル、PIK3CA変異)、腫瘍免疫(癌部IDO1発現レベル、癌部PD-L1発現レベル)、マイクロバイオーム(Fusobacterium nucleatum)に関するデータとの関連解析を行う事ができた。その結果、CCN4発現レベルはいずれのマーカーとも関連を認めなかった。これらの結果から、CCN4は今回検討したマーカーとは異なる独立したpathwayを介して予後不良に寄与する可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、CCN familyの中でCCN4に着目し、食道癌において癌進展に寄与する様々な分子病理学的因子、腫瘍免疫、マイクロバイオームとの関連解析を行った。 今後は腫瘍免疫に着目し、様々な免疫因子(末梢血液のデータ、切除標本におけるリンパ球浸潤)などとの関連を解析し、宿主の免疫に対するCCN familyの発現意義を解明する。有意な所見が得られた場合、in vitroなどの基礎実験で立証を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)医局内保管の試薬、消耗品を使用することができたため。 (使用計画)試薬、消耗品の購入費に充てたいと考える。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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