2017 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞に発現するTRPV2チャネルを標的とした食道癌新規治療法の開発
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17K10602
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40568086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食道外科学 / 癌幹細胞 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まずヒト食道癌組織におけるTRPV2の発現レベルを解析した。扁平上皮癌組織において、細胞膜・細胞質にTRPV2発現が確認された。TRPV2発現をスコア化し、臨床症例を二群化して比較したところ、TRPV2高発現群の予後が有意に不良であった。次に、種々のヒト食道癌細胞株におけるTRPV2発現を解析し、TE15、KYSE170におけるTRPV2の高発現を確認した。両細胞株において、TRPV2 siRNAをトランスフェクションしたところ、細胞増殖抑制・アポトーシス増強効果を認めた。また、TRPV2 siRNAの導入により、細胞遊走・浸潤能が抑制されることを確認した。現在、TRPV2 siRNAを導入した細胞株の遺伝子発現変化をmicroarrayにより網羅的に解析している。 また、癌細胞株TE8から癌幹細胞を抽出培養し、網羅的遺伝子発現解析からTRPV2の高発現を見出し、その阻害剤トラニラストの癌幹細胞増殖抑制効果についてまとめ、英文論文として報告した(J Gastroenterol. 2018)。同様の現象を他の細胞株でも再確認するため、TE4からの癌幹細胞抽出・培養に成功し、その遺伝子発現変化をmicroarrayにより網羅的に解析している。 一方で、食道癌におけるAE1(Oncotarget.2017)、NHE1(Oncotarget.2017)、TRPM7 (Anticancer Res.2017)などのイオン輸送体の機能解析・臨床病理学的意義を解明した。同時に、ヒト胃癌細胞株における低浸透圧殺細胞効果が、カリウムチャネル阻害剤により調節性容積減少(RVD)の抑制を介して増強されることを解明した(Oncotarget.2017)。また、肝細胞癌において、温度刺激が水チャネルAQP5の発現局在・細胞内代謝に与える影響を解明した(Int J Oncol.2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のうち、ヒト食道癌組織におけるCa2+透過性陽イオンチャネルTRPV2の発現解析、癌細胞におけるTRPV2を介する細胞周期・アポトーシス・細胞浸潤制御機構の解明、TE8由来癌幹細胞におけるTRPV2を介する癌幹細胞特異的な増殖抑制効果の検討、新たな癌細胞株TE4からの癌幹細胞抽出・培養などの基礎実験は、ほぼ終了している。また、消化器癌における種々のイオン輸送体・pH制御因子の機能解析も進展しており、研究成果は既に国内外の学会で発表し、英文雑誌にも投稿・掲載されている。現在、TRPV2 siRNAを導入した細胞株や、新たに樹立したTE4由来癌幹細胞株の遺伝子発現変化をmicroarrayにより網羅的に解析しており、研究目的・研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、術前化学療法施行症例を中心に食道組織内TRPV2・癌幹細胞マーカー発現を同様に解析し、化学療法の組織学的効果との相関について検討する。また、新たに作製した癌幹細胞を解析し、特異的に発現するイオン輸送体を同定する。更に、各種抗癌剤(5FU、シスプラチン、ドセタキセル)による抗腫瘍効果が、TRPV2阻害剤トラニラストの併用により増強されるか否かを解析する。また、癌幹細胞におけるTRPV2・イオン動態を介する細胞周期・アポトーシス制御機構解明を進めるとともに、in vivoにおけるTRPV2制御による皮下腫瘍成長抑制効果、及び抗癌剤併用効果について検討する予定である。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Transient Receptor Potential Melastatin 7 as an Independent Prognostic Factor in Human Esophageal Squamous Cell Carcinoma2017
Author(s)
Nakashima S, Shiozaki A, Ichikawa D, Hikami S, Kosuga T, Konishi H, Komatsu S, Fujiwara H, Okamoto K, Kishimoto M, Konishi E, Otsuji E.
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 37
Pages: 1161~1168
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Efficacy of Additional Surgical Resection After Endoscopic Submucosal Dissection for Superficial Esophageal Cancer.2017
Author(s)
Kudou M, Shiozaki A, Fujiwara H, Konishi H, Shoda K, Arita T, Kosuga T, Morimura R, Murayama Y, Kuriu Y, Ikoma H, Kubota T, Nakanishi M, Okamoto K, Dohi O, Konishi H, Naito Y, Otsuji E.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 37
Pages: 5301~5307
Peer Reviewed
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