2018 Fiscal Year Research-status Report
食道癌への臨床応用を可能にする抗がんウイルスの新規開発と最適化研究
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17K10604
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10322372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗がんウイルス / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、survivin promoterを抗がんヘルペスウイルス作成のためのコンストラクトにクローニングする実験の再開と検証を行った。 しかし、前年と同様、研究再開後、サブクローニングを終えた時点でのベクター発現解析実験において、survivin promoterの機能が前回と同様に減弱していること、ヒト食道癌細胞株や食道癌切除標本における免疫染色でのsurvivin発現の強度についても同時に評価する中で、期待よりも低いsurvivin活性を示すことを再確認した。これは既報と乖離していると結論した。 したがって、survivin分子のみを焦点絞る研究を継続することは、最終的アウトカムに繋がらないリスクがあると判断し、前年度後半から開始していた、すでに胃癌細胞株で効果を確認済みの抗がんウイルスの研究にエフォート移行した。 つまり、研究代表者らがすでに作成かつ胃癌細胞株の治療効果を確認している他の抗がんウイルス(T-SOCS-3, T-hTERT)を用いて、食道癌細胞株を中心に研究を行った。 現時点では、胃癌細胞株と同様に、T-SOCS-3とT-hTERTは、食道癌細胞株に対しても、強い細胞傷害活性を示すことが判明し、食道癌手術新鮮切除標本でのin vitroアッセイを継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始前の仮説ならびに推測では、あらゆる癌にsurvivin分子が高発現していることであったが、研究者らの実際のスクリーニングでは、予想反して、その発現が低いことが判明したため、研究の軌道修正を余儀なくされた。 また、本件については、研究開始後も数回にわたり検証したものの、既報とは大きな乖離があり、既報論文の信憑性については懐疑的である。 しかし、本件は想定内の範囲で、内容の変更が可能であったため、研究期間3年の2年目としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度と2年目の研究結果から、想定内の研究内容の変更があったが、T-SOCS-3とT-hTERTの2種類の抗がんヘルペスウイルスが食道癌細胞に強い障害作用を有することが判明したので、この採用機序や臨床サンプルを用いた前臨床的解析を最終年度に推し進めて行く予定である。 研究見込みとして、上記概要の計画の推進については、最終年度期間内で結果を導くことは可能と考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度における研究(事業)計画において、survivin promoter発現型抗がんウイルスの作成費用が、予算の大半を占めることになっていたが、2年目の研究実績と研究結果から、研究計画の変更が必要になったため、2年度における使用総額が当初の見積りより減額となり、差額(次年度繰越)が生じましたが、最終年度(3年目)の計画では、全額執行の見込みである。
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Research Products
(8 results)