2017 Fiscal Year Research-status Report
腹膜播種成立に関与する腹腔内環境と免疫チェックポイント
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17K10618
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
相馬 大介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 外科医師 (80636613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 由紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他, 消化器病態生理研究室長 (10392391)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外科 / 癌 / 腹膜播種 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、診断の向上や新規抗癌剤の登場により胃癌患者の生存率は向上したが、胃癌は本邦において依然癌死亡原因の第3位と主要な死亡原因の1つである。特に腹膜播種は根治的手術を施行された胃癌患者における再発様式の40-60%を占める最も重要な予後因子であり、腫瘍の進展そのもの以外にも随伴する症状が患者のQOLを著しく低下させる。腹膜播種に対する治療法は確立されていないが、近年では局所高濃度維持による効果の増強を期待して抗癌剤の腹腔内投与が行われている。抗癌剤の腹腔内投与時に温熱療法を併用することの有用性も既に示されているため、本研究で我々は、抗癌剤により傷害された細胞や、温熱処置により傷害を受けた細胞および傷害された細胞から受動的に放出される損傷関連分子パターン(DAMP)が、腹腔内細胞にどのような影響を及ぼすかを解明し、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強するための手段や癌細胞の免疫逃避を解除する方法の開発を目指す。初年度は、胃癌症例の手術時の腹腔内洗浄液および大網より酵素的に細胞を分離し、フローサイトメトリー解析を行った。ヒト腹腔内免疫細胞をCD4+T、CD8+T、CD25+CD4+T、CD56+NK、CD14+Mac+B、CD70-CD20+CD43+CD27+B、CD38hiCD27hiCD138+CD20-プラズマ細胞に分画して解析可能であった。マウスモデルを用いた解析ではin vitroにおいて、マウス大腸癌CT26細胞およびマウス乳癌EMT6細胞が100%殺傷される条件(温度、時間、細胞密度など)を検討した。いずれの温度(42、45、50、55、60°C)においても熱処理直後の観察ではトリパンブルー染色陰性の細胞が存在したが、熱処理した細胞を再度培養して生細胞の有無を3日後に確認することで、45°C以上の温度では全ての細胞が殺傷されることが明らかとなった。現在、同様の処理を行った細胞をマウスの腹腔内に投与して、免疫細胞に及ぼす影響を経時的に解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手術時の腹腔内洗浄液および大網より酵素的に分離したヒト腹腔内細胞の解析は順調に進んでいる。マウスモデルを用いた解析については、抗癌剤ないし温熱処理によりマウス癌細胞を100%殺傷する条件の設定、およびその確認が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続きヒト腹腔内細胞の解析を行うと同時に、in vitroにおいてマウス癌細胞株を100%殺傷される条件を見出したので、予定通りマウスモデルを用いて殺傷細胞が腹腔内免疫細胞に及ぼす影響の解析を進める。
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Research Products
(4 results)