2018 Fiscal Year Research-status Report
直腸癌に対する放射線誘導性上皮間葉転換とそのSN-38による抑制
Project/Area Number |
17K10620
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80571942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 啓介 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60526755)
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SN-38 / 放射線 / 大腸癌 / Temsirolimus |
Outline of Annual Research Achievements |
直腸癌に対して術前化学放射線療法が広く行われている。我々は放射線治療にCPT-11を併用するレジメを第I相臨床試験として行い、治療成績の大幅な向上を得た。また放射線により大腸癌細胞にhypoxia - inducible factor (HIF)-1αの発現が誘導され、これが放射線耐性の機序となっていること、CPT-11の代謝産物であるSN-38がHIF-1αを抑制し放射線感受性を増強することを解明してきた。その一方で癌の浸潤や転移における上皮間葉転換(EMT)の関与が近年注目されており、HIF-1αがこのEMTを誘導するとされるが、放射線誘導性のHIF-1αが大腸癌にEMTを誘導するかについては報告がない。そこで本研究では、①放射線により大腸癌にEMTが誘導されるか ②SN-38によるHIF-1α抑制がEMTの克服に寄与するかについて検証することを目的とし、大腸癌細胞株を用いたin vitroの系及びマウス皮下腫瘍モデルにて検討することを計画した。
初年度においては①の放射線による大腸癌細胞株に対するEMTの誘導の検証を主に行い放射線照射により大腸癌細胞株にEMTが誘導されることを確認した。
本年はさらにSN-38が放射線により誘導されたEMTを抑制するかどうかを検証した。しかしながらSN-38の添加により細胞のViabilityが大きく下がり、EMTが抑制されるというよりは細胞死により細胞の遊走能が低下している印象であった。そこで使用する薬剤を変更しmTOR阻害剤であるTemsirolimusを使用することとした。Temsirolimusは細胞のViabilityを低下させることなく放射線誘導性の遊走能の上昇を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた薬剤では予定した効果が得られなかったが、薬剤を第2選択のものに変更することにより、当初期待した効果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の臨床手術検体を用い放射線により誘導されたmTOR経路が癌の転移能に影響を与えるか否かを検討する。
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