2017 Fiscal Year Research-status Report
Atg5非依存的オートファジー誘導活性化合物のマウス腸炎モデルに対する効果の検討
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17K10632
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 宙 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00379207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水島 恒和 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (00527707)
西村 潤一 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科副部長 (20379209)
清水 重臣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、炎症性腸疾患におけるオートファジーの役割が注目されている。研究分担者は通常型のオートファジーの 他に、世界に先駆けて新規オートファジー(Atg5非依存的)が存在することを発見した。この細胞機能とクローン 病モデルマウスやクローン病のリスク遺伝子との関与も報告されている。我々はオートファジーを活性化できる 天然物を持続慢性的に摂取することにより、炎症性腸疾患の寛解期の長期化、症状の軽症化ができるのではない かという点に着目した。 本研究では強いオートファジー誘導活性のある天然物(すでに選定した86種類)の中から、炎症性腸疾患に有 効な天然物をモデルマウスで同定し、その作用機序を明らかにすることを目的とする。 本研究の成果は炎症性腸疾患の新規治療薬、機能性食品の開発に必ずつながると考える。
平成29年度の研究実施計画 炎症性腸疾患に有効な天然物を同定する。具体的には、従来型オートファジーならびに新規オートファジーを協 調して活性化できる天然物(86種類)を、炎症性腸疾患モデルマウスに投与して選定する。 1炎症性腸疾患に有効な天然物の同定 1、既に同定したオートファジー誘導天然物(86種類)を薬剤誘導性腸炎マウスに飲水投与し、マウスの腸炎を 抑制できる天然物を同定する。具体的には、有効性の高い天然物を5~6種類選ぶ予定である。 有効性の判断は、症状(血便、下痢、体重減少)、腸の病理組織から行う。 2、有効性の認められた天然物に関して、類似構造の天然物を探索して、マウスレベルでより有効性の高い天然 物2~3種類に絞り込む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性腸疾患に有効な天然物の同定 オートファジー誘導が示唆される天然物のうち、腸炎緩和効果を有するものの検討を行った。まず、腸炎モデルマウス作成にあたり予備検討を行いデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)2%濃度、6日間自由飲水により薬剤性腸炎を誘導した腸炎モデルマウスを用いた。研究分担者の清水が同定した、通常型オートファジー並びにAtg5非依存的オートファジー(新規オートファジー経路)を活性化させる86種類の天然成分のうち、活性の高い順に11種類を上記マウスに投与し腸炎緩和効果(体重減少抑制、下痢・血便の抑制、腸管長短縮抑制、組織における炎症所見の緩和)を確認した。その結果、3種類において有意な腸炎緩和効果を認めた。また、これらの内2種類の天然物(サンプルA、サンプルB)において、腸管上皮におけるオートファジー誘導効果を確認したところ、通常型オートファジーを誘導する可能性が示唆される結果を得た。 そこで、腸管上皮由来細胞株Caco2細胞において、天然物サンプル添加による細胞毒性の有無について検討した。結果、低濃度から高濃度(10ug/ml-1000ug/ml)のいずれの濃度においても細胞毒性は観察されなかった。また、オートファジー誘導効果を検討するため、オートファジーフラックスアッセイを行った。結果、サンプルA及びサンプルBにおいて、濃度依存的なオートファジー誘導効果を確認し、オートファジー阻害剤により、それらの効果が減弱したことから、サンプルA、Bの添加によりオートファジーが誘導される可能性が示唆された。 同定された2種類の天然物のうち、より強い有効性を示したサンプルAについて、分画物の作成を行った。来年度、この分画物を使用して分画ごとの有効性を確認(細胞株による実験を想定)することとする。有効性を示した分画物について、さらにカラム分離により有効成分の同定を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、上記検討を引き続き継続するとともに、有効性を示唆する結果が得られたサンプルAおよびBに関して、腸管上皮特異的およびマクロファージ特異的にAtg7欠損をきたすコンディショナルノックアウトモデルマウスを用いて、腸炎とオートファジーの関わりについて昨年度の結果を裏付ける検討を実施する。これらの検討により、Atg5非依存的オートファジーの機能低下の関与、腸管粘膜免疫担当細胞への影響を明らかにしたいと考えている。さらには、投与効果及び安全性について、至適投与量の検討を行うとともに、肝毒性などの安全性に関する検討を行うこととする。
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Causes of Carryover |
今年度遂行できず、次年度計画中の実験のための、モデルマウス、抗体試薬にかかる費用として、繰り越させていただきました。ご高配よろしくお願いいたします。
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