2019 Fiscal Year Research-status Report
血中遊離DNAのモニタリングによる疾患プロファイルの構築と個別化治療戦略
Project/Area Number |
17K10650
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
宮倉 安幸 自治医科大学, 医学部, 准教授 (50306122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70332369)
力山 敏樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (80343060)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デジタル PCR / 血中モニタリング / KRAS / 大腸癌 / 膵癌 / EGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】我々は腫瘍のゲノムプロファイルがその進展・転移、治療の過程で変化する事に注目し、ゲノムプロファイルのモニタリングとその情報に基づくがん治療戦略の構築を進めてきました。しかし頻繁な生検や転移巣の検体採取が必要で、煩雑性や過大侵襲が大きな問題でした。その問題を解決したのが、血中に遊離した希少な腫瘍細胞やDNAを検出する技術「Liquid biopsy」です。我々が注目したのはKRAS遺伝子で、様々ながん腫で変異が認められ、切除不能大腸がんでは治療標的分子となっています。KRAS遺伝子を経時的にモニタリングする事で、薬剤耐性や感受性回復の指標としての意義を検証します。またKRAS statusに基づく治療介入方法や薬剤の再導入などへの応用を探ります。タイムリーなゲノムプロファイルの取得により、新たな医療アプローチとしての臨床応用を目指します。さらにオンチップソーティングシステムを用いて循環腫瘍細胞を抽出し、全ゲノム増幅を行い、次世代シークエンサーで解析を行うプラットフォームを確立します。 【研究実績】 (1)デジタルPCRによる「Liquid biopsy」:膵がん患者の血漿検体を収集し、デジタルPCRを用いて血中モニタリングを行い、KRAS循環腫瘍DNAの検出の臨床的意義を検討しました。膵がん患者においては、術後再発の有無にかかわらず予後を反映し、化学療法の治療効果と相関することが明らかとなりました(PLOS ONE 2019)。 (2)「Digital PCR」は一度に検出できる遺伝子変異数に制限が有り、標的遺伝子を変えて複数回施行する必要があります。モニタリングする標的遺伝子も症例毎に異なりますので、かなり煩雑な要素が増えます。そこで循環腫瘍DNA(ctDNA)遺伝子パネル(AVENIO)を用いて標的分子を197遺伝子に広げました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)デジタルPCRによるKRAS遺伝子の血中モニタリング: 大腸がん患者においては、薬剤の選択や治療効果そして予後との相関が認められました(Oncotarget 2018)。また膵がん患者においては、術後再発の有無にかかわらず予後を反映し、化学療法の治療効果と相関することが明らかとなりました(PLOS ONE 2019)。 (2)標的循環遊離核酸の拡大と疾患プロファイルの構築: 胃がん患者を対象として、ctDNA遺伝子パネル(AVENIO)を用いて197のがん関連遺伝子の解析を行いました。著明な治療効果が得られた高度進行胃癌の患者でp53の変異が特定されたました。「Digital PCR」によるp53変異の血液モニタリングを行ったところ、p53変異の消失に一致して大量腹水は改善され、治療効果を的確に反映する事が確認されました。 (3)液滴ソーティングによる塩基配列解析と簡易解析システムのアプリケーション化 標的分子としてEGFRのモニタリングを追加しました。株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズのソーティングシステムを用いて循環腫瘍細胞(CTC)の採取を行い、ctDNAとの比較を行いました。大腸癌の分子標的治療薬であるRegorafenibの投与前後でctDNAを採取し、EGFRの発現レベルを比較すると、Regorafenibを投与することによりEGFRの発現レベルが上昇する事を確認しました。さらにオンチップソーティングシステムを用いてCTCを抽出し、全ゲノム増幅を行い、次世代シークエンサーで解析を行うプラットフォームの構築を進めています。
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Strategy for Future Research Activity |
ctDNAを特定し、リアルタイムな変化をモニタリングする事によって、癌の診断、治療の効果判定、薬剤の選択など臨床的有用性を報告してきました。さらにctDNA遺伝子パネル(AVENIO)を用いて標的分子を197遺伝子に広げ、がんの遺伝子プロファイルを構築し、医療アプローチとしての臨床応用を進めてきました。こういった検討で浮かび上がってきた課題が、対象としているctDNAは断片されたゲノムの一部であり、腫瘍の全ゲノムの特徴を表現していないという事です。 そこで、オンチップソーティングシステムを用いてCTCを抽出し、がん細胞を単離し、核酸を抽出した後に全ゲノム解析を行います。遺伝子パネルにはOncomine tumor mutation load assayを用いて409遺伝子の変異を検出します。得られた情報を、我々が蓄積してきたctDNA遺伝子プロファイルと比較します。
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Causes of Carryover |
消耗品価格の変動のため次年度使用額が生じました。消耗品購入の繰り越しにまわします。
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[Journal Article] Temporary loss of consciousness during cetuximab treatment of a patient with metastatic colon cancer: a case report.2019
Author(s)
Taro Fukui,Koichi Suzuki,Sawako Tamaki,Iku Abe,Yuhei Endo,Hideki Ishikawa,Nao Kakizawa,Fumiaki Watanabe,Masaaki Saito,Shingo Tsujinaka,Kazushige Futsuhara,Yasuyuki Miyakura,Hiroshi Noda,Toshiki Rikiyama
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Journal Title
Surgical case reports
Volume: 5
Pages: 145~145
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] High relative levels of satellite alpha transcripts predict increased risk of bilateral breast cancer and multiple primary cancer in patients with breast cancer and lacking BRCA_related clinical features.2019
Author(s)
Nao Kakizawa,Koichi Suzuki,Iku Abe,Yuhei Endo,Sawako Tamaki,Hideki Ishikawa,Fumiaki Watanabe,Kosuke Ichida,Masaaki Saito,Kazusige Futsuhara,Fumio Konishi,Toshiki Rikiyama
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Journal Title
Oncology reports
Volume: 42
Pages: 857~865
DOI
Peer Reviewed
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