2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism for resistance EGFR blockade; Analysis using circulating tumor DNA and circulating tumor cell
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17K10657
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山田 岳史 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50307948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 岐博 日本医科大学, 医学部, 助教 (40328802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗EGFR抗体 / Liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の3つのの目的についてそれぞれの概要を記す。 (1)抗EGFR抗体耐性メカニズムの解明:KRAS野生型大腸癌患者に抗EGFR抗体を投与すると、耐性獲得時には60%の症例でKRAS変異が生じることがわかっていたが、検出感度を上げる工夫をしたことで、90%以上の症例で新規KRAS変異が生じることが明らかとなった。これだけの高頻度でKRAS変異が生じるということから、抗EGFR抗体への獲得耐性にはKRAS変異が関わることが強く示唆された。半数の症例では2カ所以上にKRAS変異を認め、コドン61の変異が多い。更に治療成功期間が長いほど変異カ所が多いことがわかってきている。 (2))Circulating tumor cell (CTC)の利用:これまでのCTC採取機器を用いると転移を有する大腸癌患者の約60%から中央値3個/15mLしか採取できなかった。EpCAM抗体を用いてCTCをtrapしていたため、上皮間葉転換をきたした細胞をtrapできないと考え、EpCAMにHER2抗体、Trop2抗体を加えることで、進行大腸癌のほぼ全例から中央値30個のCTCが採取できるようになった。 (3)新規分子標的の探索:これまで抗EGFR抗体を投与することでKRAS、BRAF、EGFR、PIK3CA、等に変異が生じることが報告されていたが、BRAF、EGFRが変異する頻度は低いと考えられていた。我々は約40%の症例でBRAF、EGFRが変異することを示し、さらにはFBXW7にも変異が生じることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)抗EGFR抗体耐性メカニズムの解明:18例の耐性化症例のうち新規KRAS変異を認めなかった症例は1例のみであったことから、耐性化メカニズムの主たる経路はKRAS変異であることが予測される。KRAS変異を認めなかった症例ではEGFRの変異を認めた。しかしこのEGFRの変異が耐性化の主たるメカニズムであるかは明らかではない。 (2)CTCの利用:CTCを用いた変異の同定率はCirculating tumor DNA (ctDNA)を用いた変異同定率の半分以下である。この原因の主たるものはCTCの採取個数が少ないことにあると考えている。200個程度のCTCが採取できると、精度が格段に上昇すると予測しているため、現在用いている3種類の抗体に更に抗体を追加することを試みている。まずEGFR抗体を試している。これまでに10例行い、8例ではEGFR抗体を用いた方がCTC採取個数が多かった。しかし200個以上採取できたのは1例のみである。 (3)新規分子標的の探索:新規分子標的を見つけるためには次世代シーケンサー解析が必須である。しかし既存のパネルでは感度が低すぎて新規の変異を同定できない。抗EGFR抗体耐性化メカニズムに関わる可能性がある変異を重点的に探索カスタムパネルを作成し、digital PCR (dPCR)で同定可能であった変異が同定できるかを試みたが、同定できたのは約半数にすぎなかった。現在新たなカスタムパネルを作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)抗EGFR抗体耐性メカニズムの解明:新規KRAS変異が同定できなかった症例の手術検体、血液検体の解析を行っている。PIK3CA等の変異以外にはMETやHER2の増幅が考えられるため、これらの解析を行う予定である。耐性化した後に2次化学療法を行っている時の血液サンプルを解析することでヒントが得られる可能性があると期待している。 (2)CTCの利用:CTC採取個数をふやすことができる新規抗体を開発中であり、現在CEA抗体、PD-L1抗体の開発を試みている。また、数多く採取できた症例の表面マーカーを解析する方法を模索している。大腸癌CTCに多く発現する表面マーカーを同定することができれば、その表面マーカーの抗体を作成することで、回収効率を改善できる可能性がある。 (3)新規分子標的の探索:抗EGFR抗体耐性化メカニズム解明に特化したカスタムパネルを開発する。現在同定できている変異はMutation allele frequency (MAF)が2%以上であるが、多くの新規変異のMAFは1%前後である。Deep sequencingで同定できるぎりぎりのラインと考えているが、これらを分子バーコード等の新技術の応用を図っている。血液の採取量は限られるため、尿の活用を考えている。これまで尿からctDNAが採取できることはすでに報告されているが、最適な採取法は明らかになっていない。現在同一患者から尿と血液の両検体を採取し、比較しながら、最適な尿の利用法を検討中である。
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Causes of Carryover |
予定より消耗品費が抑えられた。次年度の消耗品に使用する。
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