2018 Fiscal Year Research-status Report
循環DNAと循環腫瘍細胞を用いた抗EGFR抗体耐性機序の解明と新規分子標的の探索
Project/Area Number |
17K10657
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山田 岳史 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50307948)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 岐博 日本医科大学, 医学部, 助教 (40328802)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | KRAS / RAS / 抗EGFR抗体 / Liquid biopsy / BRAF / EGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は抗EGFR抗体を投与することで新たに誘導される変異、特に治療標的となる変異が生じるかどうかをLiquid biopsyを用いて検証することである。 まず自施設で30例のパイロット研究を行った。その結果、抗EGFR抗体を投与する前から、原発巣がRAS野生型であっても、Liquid biopsyでRAS変異が同定される症例があり、これらの症例では抗EGFR抗体が奏効しないこと、抗EGFR抗体の投与によりRAS、BRAF、EGFRに高頻度に変異が生じることがわかった。RAS阻害剤の開発は困難であることは知られているが、BRAF、EGFRはすでに阻害剤が開発され、治験が進んでいる。したがってこれらの変異は抗EGFR抗体治療を終了した患者の治療として期待できる可能性が示された。これらの変異は抗EGFR抗体治療開始6ヶ月以降に生じる。これは抗EGFR抗体治療のProgression free survival (PFS)が10ヶ月程度であることを考えると妥当な結果であると考えられる。 またこれらの新たに誘導された変異は抗EGFR抗体治療を終了し、新たな治療を6ヶ月体d継続することにより消失することがわかった。こららの症例では抗EGFR抗体のリチャレンジが有用である可能性がある。 パイロットスタディの結果はすでに国内外の学会で発表を行い、現在投稿中である。 続いて100症例を集積し、パイロット研究の結果を検証する多施設共同研究を立ち上げ、現在までに22例を集積した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RAS野生型大腸癌30例を対象に抗EGFR抗体を投与し、Liquid biopsyにてEmerging mutationを把握するパイロットスタディーを行った。その結果、抗EGFR抗体を投与することで、約90%の症例でRAS変異が、約50%の症例でBRAF、EGFRの変異が誘導されることがわかった。結果はすでに国内外の学会で発表し、現在投稿中である。 この研究は単施設で少数例のみを対象としたため、100症例を集積する多施設共同研究を開始した。現在22例が集積されており、後2年で100例の集積を完了する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
パイロット研究により、抗EGFR抗体がRAS、BRAF、EGFR変異を誘導することを明らかにした。今後行う予定の研究は以下の3点である。 第一に、これら3種以外の変異が誘導されるのかどうかを検証する。第二に、一度誘導された変異は継続するのか、あるいは抗EGFR抗体による治療を中止することで消失するのか検証する。第三に、100例の多施設共同研究をすすめ、より多数の症例でパイロット研究から得られた知見が妥当であるかを検証する。
|
Causes of Carryover |
現在行っている多施設共同研究のサンプル解析に使用する予定である。
|