2017 Fiscal Year Research-status Report
PDXを用いた難治性大腸癌の病態解明と薬剤耐性メカニズムの解明
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17K10658
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
冨田 尚裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00252643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 智基 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00599318)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PDX / FOLFOXIRI / 前臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
(目的)大腸癌における3剤併用療法であるFOLFOXIRI療法は2剤併用療法に比べて有効とされるものの、本邦ではまだ普及していない。3剤併用療法の有効性をPDXで検証した。 (方法)治癒切除不能上行結腸癌患者に対する原発巣切除時に採取した癌組織をヌードマウスに移植しPDXを作成した。本患者は腫瘍切除後にFOLFOX+EGFR抗体併用療法を行うも効果なく、術後3か月余りで原病死された。ヌードマウス(4週齢BALB/c nu/nu メス)の左右皮下に腫瘍を移植し、腫瘍生着を確認した1週間後より抗癌剤投与した。オキサリプラチン(OHP)、イリノテカン(CPT-11)、5-FUをそれぞれ10mg/kg, 20mg/kg, 50mg/kgを週1回、8回投与した。OHP群はOHPと5-FU、CPT-11群はCPT-11と5-FU、Triple群はOHP、CPT、5-FUの同時投与を行った。各群4匹、計8か所の腫瘍を週に2回計測し、腫瘍体積は長径×短径×短径×0.5で計算し、腫瘍増殖抑制率で抗腫瘍効果を評価した。 (結果)腫瘍増殖抑制率は治療開始1か月後、最終治療時で1回目:OHP群53%、54%、CPT群76%、69%、Triple群93%、92%、2回目:OHP群59%、60%、CPT群52%、58%、Triple群95%、88%であった。コントロール群(未治療)で腫瘍体積は治療開始後に比べて1か月後で約5倍、最終治療時で約8倍に増加していた。今回用いたPDXモデルでOHP群での抗腫瘍効果は不十分であったが、実臨床での結果と合致していた。またCPT群でもPDXでの抗腫瘍効果は不十分であったが、3剤併用では有効な腫瘍増殖抑制効果が得られていた。遺伝子検査でこの患者はBRAF変異陽性であり、臨床試験でのFOLFOXIRI療法はBRAF変異陽性の患者にも有効であったとの結果と合致していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
兵庫医科大学研究棟の建て替えに伴い、2017年11月から2018年3月まで動物実験施設が閉鎖されていたため、これまで作成したPDXを用いた動物実験、新たなPDXの作成が出来なかった。そのため、本来は新しい前臨床試験モデルで、より多くの患者からの腫瘍で検証すべきであるが、3人の患者からPDXを作成していたにも拘らず、1人の患者由来のPDXからしか薬剤感受性試験を行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年4月から新しい動物実験施設が完成したので、動物実験を再開している。BRAF変異陽性患者からのPDXとKRAS変異陽性患者からのPDXも作成しているので、これらのPDXにおいて3剤併用療法と、従来の2剤併用療法の効果を比較検討する。またPDX腫瘍においては同じマウスに移植していても腫瘍増殖が大きく異なることがあることを見出している。この腫瘍間の増殖の差が何によって起こっているのかを調べる為に、PDX腫瘍をヒト由来のがん細胞と、マウス由来の間質細胞に分けて(MACSによる分離)遺伝子解析を行う。
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Causes of Carryover |
兵庫医科大学研究棟の建て替えに伴い、2017年11月から2018年3月まで動物実験施設が閉鎖されていたため、動物実験を行うことが出来なかった。そのため本来行うべき実験が行えなかったため次年度使用額が生じた。2018年4月からは動物実験が再開できるようになったので、主に動物購入に用いていく。
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Research Products
(1 results)