2017 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎を起点とする炎症促進性因子を介した造腫瘍機械の解明と臨床応用
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17K10659
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
衣笠 哲史 久留米大学, 医学部, 准教授 (90279266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 俊之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70444817)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 炎症促進因子 / 造腫瘍機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、予定していた潰瘍性大腸炎の診断で癌合併を認めた2症例(以下:IBD①、IBD②)の手術にて得られた検体を用いて肉眼的「正常粘膜部:以下N」、「炎症部:以下I」、「癌病変:以下T」からDNAを抽出した。同様に、潰瘍性大腸炎がない通常の大腸癌症例(1症例、以下Ca)の「正常粘膜部:N」、癌病変:T」からもDNAを抽出した。これらのDNAを用いて、腫瘍や炎症関連遺伝子が配列されている「マイクロアレイ」を用いて解析を行ったところ、多くの遺伝子発現の増加や減少あるいは発現がみられないことが明らかとなった。 IBD①・②症例において、NとTとを比較しTで発現が増加している遺伝子やNとIを比較して発現が増加している遺伝子、IとTとを比較して発現が変化ない遺伝子または増強している遺伝子などで検索をおこなった。一方、Ca症例にてNとTを比較しTにて発現が増加している遺伝子、または発現が減少している遺伝子を検索した。多くのパターン解析を行った中で、さらに「IBD症例のNとTで共通に変動しCa症例のNとTで変動しない遺伝子」、逆に「IBD症例では変動せずにCa症例で変動する遺伝子」、「IBDのNでは変動がないがIBDのNとCaのNとの比較では変動している遺伝子」などを検索した。 数多くの遺伝子が候補に挙がったが、その中で興味ある遺伝子5種類について、手術標本の組織でのタンパク質の発現について検討するために、抗体を購入し、現在免疫組織学的染色にて各症例での発現を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、研究計画の平成29年度分予定の研究は着実に進んでいる。現在、マイクロアレイ解析にて抽出された遺伝子が実際に組織で発現しているかを、免疫組織学的な染色を行っており、ポジティブフィードバックによりさらに炎症を促進する因子(PF因子)を同定する作業を行っている。これは、まさに炎症の持続が病変の癌化に影響を与えていることを証明できることにつながり、本研究の根幹をなすものである。
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Strategy for Future Research Activity |
組織でのタンパク質の発現が確認された後、今後はin vitroの系を用いてそのタンパク質の発現がPF因子としての機能を持っているかを検討していく予定である。まず、大腸癌の細胞株を用いて標的タンパクを強制発現およびノックダウンし、炎症性サイトカインなどの発現などを検討していく予定である。この系で結果が得られた場合、次にはin vivoの系で大腸癌細胞株にレンチウイルスベクターなどにて標的遺伝子を導入し、ヌードマウスに播種し、腫瘍増殖能を解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
免疫染色用の抗体の手配に時間がかかり、支払いが平成30年度になった。 その分の費用が次年度使用額として計上されるため、平成29年度としては「0」より大きくなった。
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