2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム構造解析による消化器癌の新規癌関連遺伝子の同定と臨床応用
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17K10673
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
渡邉 信之 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70746825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (40578978)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝癌 / 分子標的治療 / 増幅遺伝子 / SMYD2 / 癌遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
SMYD2(SET and MYND domain-containing protein 2)は、メチルトランスフェラーゼとして p53 の機能を阻害する重要な分子である(Huang J et al. Nature. 2006)。また、p53 とは independent に p21 を抑制して細胞増殖に関わる分子である(Komatsu S, Imoto I, Inazawa J et al. Carcinogenesis. 2009, Br J Cancer 2014)。申請者らは、43 種類の食道扁平上皮癌細胞株に対してアジレント 244K オリゴアレイ CGH 解析を行い、既知の増幅領域の再評価により 1q 増幅領域から新しい癌関連遺伝子としてSMYD2を同定した。SMYD2 の過剰発現は、食道癌で約 70%、胃癌で約 40%に認められる(Komatsu S et al. Carcinogenesis. 2009, Br J Cancer 2014)。 SMYD2特異的阻害剤(AZ505, AstraZeneca, Lodon, UK)が開発されたのを受け、食道癌、胃癌、肝癌などの消化器癌における SMYD2 を標的とした新たな治療分子としての開発・臨床応用を目指す。肝癌は高頻度に 1q 増幅領域を持つ。特に、SMYD2 の坐位する 1q32-42 増幅領域は、多くの肝癌で遺伝子増幅を認める。① 肝癌の臨床検体を用いたSMYD2の発現解析、予後、悪性度の評価、② 肝癌の悪性度に関するSMYD2分子機構の解明、臨床応用技術の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SMYD2特異的阻害剤(AZ505, AstraZeneca, Lodon, UK)が開発されたのを受け、食道癌、胃癌、肝癌などの消化器癌における SMYD2 を標的とした新たな治療分子としての開発・臨床応用を目指す。 今回、高頻度に 1q に増幅領域をもつ肝癌での SMYD2 発現意義を明らかにする。肝癌は高頻度に 1q 増幅領域を持つ。特に、SMYD2 の坐位する 1q32-42 増幅領域は、HepG2 含め数多くの肝癌細胞株で遺伝子増幅を認める。5種類の肝癌細胞株で、2 株(40%)に繊維芽細胞株 WI-38 より過剰発現を認めた。肝癌の臨床検体による免疫組織学的解析により、肝癌においても過剰発現を認めている。現在、予後、悪性度との関連を解析している。SMYD2特異的阻害剤(AZ505, AstraZeneca, Lodon, UK)を用いたin vitro解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
SMYD2 遺伝子は食道扁平上皮癌の増幅領域から同定された新規癌遺伝子候補であり、これまでの研究結果、解析手法を用いて引き続き以下の研究を計画している。①肝癌の臨床検体を用いたSMYD2の発現解析、予後、悪性度の評価、②肝癌の悪性度に関するSMYD2分子機構の解明(下流分子、標的分子の同定)、③SMYD2特異的阻害剤AZ505の分子標的治療薬としての有用性の検討、④SMYD2を制御するmicroRNA候補群の探索とSMYD2を標的とした核酸医薬の応用、 ⑤肝癌血中遊離DNAのSMYD2遺伝子コピー数定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用、⑥肝癌 SMYD2 、p53 発現の同時測定による診断マーカーとしての応用、を続けて進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画通りに研究費を適正に使用し順調に研究成果が得られてる。今年度は、最終的に既受領額と支出累計額に4368円の差が生じた。当研究の研究費として大変貴重であり、次年度に繰り越して適正に使用したい。研究計画として別項に詳細に記載している。今後は研究計画予算通りに適正に使用可能である。
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Research Products
(7 results)