2018 Fiscal Year Research-status Report
Muse細胞を用いた大量肝切除後補助療法へ向けた基盤構築
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17K10676
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
片桐 弘勝 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30714422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 悠地 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00779332)
西塚 哲 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 特任教授 (50453311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / Muse細胞 / 肝再生 / 侵襲 / 肝切除 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】先行研究において、マウスに対する物理的肝切除後にヒトMuse (Multilineage-differentiating stress enduring)細胞の移植を行ったところ、Muse細胞が損傷部位近傍に優先的かつ専従的に集積し肝前駆細胞を介して肝臓の各種細胞に分化することを見出した。ヒトにおける大量肝切除や肝移植など、物理的傷害を伴う肝機能障害や肝不全におけるMuse細胞の動態・意義・外科的侵襲との関連に関する報告はない。【目的】ヒト高度侵襲肝臓手術(生体肝移植生体レシピエント手術、major hepatic resection;クイノーの分類で3 segments以上の肝切除)と定義)におけるMuse細胞の臨床的な意義を明らかにし、Muse細胞をヒト肝臓手術後に生じる高度の肝機能障害・肝不全への細胞治療として臨床応用するための基盤を構成する。【方法】高度侵襲肝臓手術患者の末梢血Muse細胞数をSSEA-3を指標として、フローサイトメトリを用いて定量する。また、血液生化学検査および画像検査を用いて、Muse細胞動員因子、肝再生容積、炎症マーカーの推移を評価する。【結果】現在までに5症例の解析が終了している。ヒト末梢血においてSSEA-3を用いたMuse細胞の定量化は可能であることを確認した。Muse細胞は高度侵襲肝臓手術後に全症例で動員がみられ、24時間後に最も動員されていた。心筋虚血がみられた症例においてイベントに一致して動員数の再上昇が確認された。【まとめ】Muse細胞は高度侵襲肝臓手術後24時間後に最も動員されている。症例により動員数に差異がみられ、意義について詳細な検討を進めていく。Muse細胞の定量化により,肝組織修復程度の指標としての意義の他、侵襲の定量化・細胞療法が有効な侵襲度の指標となる可能性があり、引き続き症例の蓄積と解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請研究課題における2年目以降の、ヒト臨床検体を用いたMuse細胞の定量化、動員因子の解析について3年で60症例を設定して進行中である。2か月で5症例のペースで推移しており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
申請研究課題における1年目のマウスを用いた研究について、マウス体内においてマウス由来のMuse細胞を追跡することは難しく、ヒトMuse細胞のラベリングで追跡を行っている。最適なMuse細胞移植の時期、移植経路、移植細胞数を設定するためにも、Muse細胞のヒトにおける意義、動態の解析を優先とし、計画の変更を申請予定している。2年目以降の、ヒト臨床検体を用いたMuse細胞の定量化、動員因子の解析については引き続き進めていく。Muse細胞動員因子の解析は外注委託予定で、ある程度の症例数蓄積毎に定量依頼として解析予定である。
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Causes of Carryover |
外注委託予定の検体は単回よりもまとめての依頼の方が経費が安価に抑えられるため、前年度は未依頼であったことが主と考える。引き続き抗体や検体解析費用として計上予定である。
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