2017 Fiscal Year Research-status Report
Anti-tumor activity in LPS tolerance and development of new technology on clinical application of tolerance
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17K10682
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
守屋 智之 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10531303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 順司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 教授 (40342654)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 分子生体制御学, 准教授 (10449069)
青笹 季文 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 准教授 (40649034)
野呂 拓史 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 助教 (10385346)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | LPSトレランス / 抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスに極微量のLPSを前投与しておくと、致死量のLPSを投与しても、炎症性サイトカインの上昇が抑制されると共に全例が生存、LPSへの強い耐性を獲得することが知られている。この現象はLPSトレランスとも言われているが、申請者らはこのLPSトレランスが細菌感染に対しても強い抵抗性を示すことを見出した。その際、炎症性サイトカインの産生は抑制されるにもかかわらず、肝クッパー細胞の殺菌能が顕著に亢進することが分かった。そこで、このLPSトレランスが抗腫瘍活性にも影響を与えるかを検討することにした。LPSトレランスを誘導したマウスでは腫瘍細胞の門脈注射による大腸癌肝転移モデルにおいて、肝での腫瘍増殖が抑制されており、コントロールマウスに比較して生存期間が有意に延長していた。LPSトレランスマウスの肝ではNK(Natural killer)細胞及びNKT細胞が増加しており、これらのPerforinやGranzyme Bの発現が増強していた。よって、NK、NKT細胞がPerforin / Granzyme B系を活性化して、抗腫瘍活性を上昇していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにLPS(lipopolysaccharide) 5µg/kgを3日間連日腹腔内投与してLPSトレランスモデルを作製した。このLPSトレランスのマウスに致死量のLPSを投与しても、全例が生存するほか、血清中のTNF-αが上昇しないことを確認した。次に、LPSトレランスマウス及びコントロールマウスを開腹し、高強度発光遺伝子(Nano-lantern)を組み込んだ大腸癌株colon26を1.0×103個門脈内注射することで、大腸癌肝転移モデルを作製した。このモデルでは肝転移はできるが、他の部位への転移は見られなかった。Nano-lanternは発光強度が強いために、剃毛することなく、無麻酔でも検出することが可能であるが、これを用いて経時的に腫瘍の増大速度を見ると、LPSトレランスマウスでは、大腸癌株colon26の門脈注射後1週間の時点で、腫瘍の増大が抑制されていた。これと一致してLPSトレランスマウスでは腫瘍注射後の生存期間が有意に延長していた。 肝での抗腫瘍活性の主役である単核球を両群のマウスから採取し、フローサイトメトリーで分画をみると、LPSトレランスマウスの肝ではNK(Natural killer)細胞及びNKT細胞の割合が増加していた。さらに、これら細胞の機能をフローサイトメトリーでみたが、NK、NKT細胞ともPerforinやGranzyme Bの発現が増強していた。一方、NK細胞、NKT細胞とも細胞内IFN-γの発現は亢進しておらず、コントロールマウスと比較して低下していた。 これらの結果から、LPSトレランスを誘導したマウスの肝臓では、NK細胞、NKT細胞がPerforin / Granzyme B系を活性化して、抗腫瘍活性を上昇していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
LPSトレランスにおける抗腫瘍活性についいてさらに詳細な検討が必要である。今後、肝の組織学的検索および血液学的検索も行い、また脾臓の単核球における免疫担当細胞の分画も同様に検討する予定である。平成30年度はさらに、肺転移モデルにおける抗腫瘍活性の検討も予定している。LPSトレランスモデルマウスを作製し、大腸癌株colon26を尾静脈から投与し、肺転移に対する抗腫瘍活性を検討する。予備実験において、colon26の尾静脈投与により肺転移モデルが作製できることを確認しており、肝臓同様Nano-lanternを用いて経時的に腫瘍の増殖抑制効果を観察する。肺転移モデルにおいても、生存期間を測定し、肝臓、脾臓及び末梢血等の単核球を採取して免疫担当細胞の分画やサイトカインを測定する。 我々は、最終的に周術期管理にLPSトレランスを応用できないかと考えており、担癌状態のマウスに手術侵襲ならびに術後感染症を発生させ、感染予後や感染症合併時の腫瘍の増殖進展に与える影響を検討する必要がある。さらに平成31年度は担癌マウスにLPSトレランスを誘導後、手術侵襲及び盲腸結紮穿刺モデルを作製し、感染予後および腫瘍の増殖進展の速度を検討する。その際、肝臓、脾臓及び末梢血中の免疫担当細胞の分画やサイトカインを測定し、マクロファージの分画や殺菌活性を測定する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、中心となる研究の下準備をおこなっていたため、費用負担が当初の予定より少なく済んだためである。来年度主研究を行うため、今年度分も含めて費用負担が増加することが予想される。
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Research Products
(2 results)