2018 Fiscal Year Research-status Report
膵インスリノーマにおけるプロゲステロン受容体発現意義の解明
Project/Area Number |
17K10686
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 豪 東北大学, 大学病院, 助教 (10636955)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 直昭 福岡大学, 医学部, 准教授 (50431565)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膵神経内分泌腫瘍 / インスリノーマ / プロゲステロン受容体 / SSTR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インスリノーマにおけるプロゲステロン受容体発現の意義を多角的に解析し、これを標的とする新たな治療法の確立するための基盤を構築することにある。検討項目として、1.プロゲステロン受容体発現インスリノーマ症例における臨床所見の解明、2.プロゲステロン受容体ノックダウン処置によるインスリノーマの機能の検証、3.プロゲステロン受容体を標的とする治療法の探索、以上の三点を予定した。82例のヒトPan-NEN組織 (非機能性膵神経内分泌腫瘍: non-functioning Pan-NEN: 以下NF: 54例、インスリノーマ28例)を対象とした。PgR発現はインスリノーマでNFに比して有意に高かった (p<0.001)。NFにはinsulin発現を伴うIns+NFと、insulin発現のない Ins-NF が存在し、前者が後者に対して PgR発現が有意に高かった(p=0.03)。二重免疫染色では、インスリノーマと正常膵ラ氏島 におけるPgR発現率が、Ins+NFにおけるそれより高かったが、全insulin発現細胞に対する PgRとinsulinの共発現率は、Ins+NF、インスリノーマ 、正常膵ラ氏島の間で相違は認められなかった。平成30年度は論文を作成し、投稿中である。さらにホルモン産生とSSTR2発現における相関性に関して検討を追加することとした。これはホルモン産生能をもつ膵神経内分泌腫瘍の中でもホルモン産生が低いものが存在し、なおかつSSTR2の発現の高いものが存在しており、これらの因果関係を検討するのは、本疾患を把握するのに、大変重要な事柄と考えている。 また、肝胆膵領域で稀少疾患であり胆管に発生するIPNBに関して、膵疾患であるIPMNと相同性が取りざたされており、この性質を解明するために、免疫染色および臨床的特徴を照らし合わせる研究も同時に進めることとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インスリノーマにおけるプロゲステロン受容体発現の有無、その評価を終了し、論文作成した。in vivoでの検討は行えていないものの、新たにSSTR2染色の関係を盛り込めるかを免疫染色を行なって検討している。このため進捗状況としては概ね順調と考えている。また、同じ稀少疾患であるIPNBに対する臨床病理学的特徴を同時に検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を論文化し、acceptを目指す。必要な追加実験を行なっていく。 in vivoとして、プロゲステロン受容体ノックダウン処置によるインスリノーマの機能変化の検証を行う。CRISPR/Cas9でプロゲステロン受容体の発現を抑制したマウスインスリノーマ細胞株MIN6に対し、そしてそのMIN6を肝臓内に注入することで作成するインスリノーマ肝転移マウスに対し、細胞/腫瘍増殖能とインスリン産生能の評価を、プロゲステロン受容体が存在する無処置のMIN6、無処置のMIN6によるインスリノーマ肝転移マウスと比較することで行う。また、肝転移動物モデルの 作成も検討できるように努めていく。
|
Research Products
(7 results)