2018 Fiscal Year Research-status Report
浸潤性膵癌に対するヒアルロン酸産生代謝経路をターゲットにした個別化治療戦略
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17K10714
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (20423527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 敬治 産業医科大学, 医学部, 教授 (70269059)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒアルロン酸の代謝ネットワークを構成する分子について、膵癌における発現および機能解析を目的に実験を行い、以下の所見を得た。 1)10種の膵癌細胞株において、代表的なヒアルロン酸産生酵素(HAS2, HAS3)とヒアルロン酸分解酵素(HYAL1, KIAA1199)の発現を検討したところ、ヒアルロン酸産生酵素および分解酵素の間(例えば、HAS2とHAS3, HAS2とHYAL1, HAS2とKIAA1199の間)に有意な正の相関を認めた。さらに、これら全てのヒアルロン酸代謝遺伝子の発現が同時に上昇している膵癌細胞株が同定され、ヒアルロン酸代謝亢進フェノタイプ(HAMP: hyaluronan accelerated metabolism phenotype)と名付けた。 2)HAMP陽性の膵癌細胞株は、ヒアルロン酸産生阻害剤(4-MU)に対する感受性が高く、一方、HAMP陰性の膵癌細胞株は感受性が低かった。 3) 膵癌組織におけるヒアルロン酸代謝関連遺伝子の発現プロファイリングを行ったところ、セルラインと同様にHAMP陽性の症例があることが示された。予後との相関を調べたところ、HAMP陽性の症例は、HAMP陰性の症例よりも予後不良であった。 以上の所見より、膵癌ではヒアルロン酸の産生および分解が亢進しているフェノタイプが存在し、予後不良のマーカーおよび治療のターゲットとして重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに実験がすすんでおり、データも順調に得られている。すでに国内の学会にて発表し、論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、HAMP陽性、HAMP陰性の膵癌細胞株を用いて、数種類のヒアルロン酸産生阻害剤およびヒアルロン酸分解酵素阻害剤に対する感受性を比較し、HAMP分類による個別化治療が可能かどうかを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
すでに実験データが得られ、計画通り進行している。学会での発表の予定が次年度となったため支出に差額が生じたが、次年度発表を行う予定である。
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