2017 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞後リモデリングを抑制するクラリスロマイシン徐放性生体吸収性シートの開発
Project/Area Number |
17K10727
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大島 英揮 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40378188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, MANA-ナノライフ分野, 准主任研究者 (10452393)
碓氷 章彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30283443)
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
藤本 和朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70644665)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (70718311)
内田 亘 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90770868)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リモデリング抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラリスロマイシン徐放性生体吸収性シート:5%CAM-PCLシートを作成し、クラリスロマイシンの溶出試験をin-vitroで行うと同時にパイロット試験としてラット梗塞心臓への植込み試験も施行した。 植込み試験は、ラット心臓を用いて前下行枝を結紮して前壁梗塞を作成した。直ちに直径5mmの円状PCLシートを心筋梗塞部のパッチ状に縫着した。PCLシートは(1)クラリスロマイシンを含有しない0%CAM-PCLシートを対照群として、(2)クラリスロマイシンを含有する5%CAM-PCLシートを治療群として、2群を用意した。また、心筋梗塞だけ作成し何の処置も施さず閉胸したものを(3)sham群とした。それぞれ3匹ずつ行った。心機能評価をエコーにて3および6週間後に行い、その後に犠牲死させ組織学的評価を行った。心機能評価:(sham群 vs 0%CAM-PCLパッチ群 vs 5%CAM-PCLパッチ群) LVEF: 42% vs 41.5% vs 40.5% at 3wks, 35% vs 38% vs 44% at 6wks、と他群に比して5%CAM-PCL群で良好であった。また、左室リモデリングの指標としての左室拡張末期容積(LVEDV)を測定すると、sham群 0.35ml vs 0% CAM-PCL群 0.37ml vs 5% CAM-PCL群 0.32ml at 6wks と5% CAM-PCL群でリモデリングは抑制されていた。 <組織学的評価>菲薄化した線維組織がsham群では心筋梗塞領域に、0% CAM-PCL群では心筋梗塞領域およびパッチ逢着部に認められ、その領域には残存心筋は認められなかった。一方、5% CAM-PCL群では、パッチ逢着部に繊維化組織に加えて残存心筋細胞を一定量認めた。 5% CAM-PCLシートを逢着することによって心筋虚血による心筋壊死が一部抑制され、左室リモデリングが抑制されたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in-vivo動物実験系はすでに確立されたモデルを用いているため、順調に動物実験が進んでいる。心機能評価や組織学的評価も、これまでの研究で培ってきた手法を用いており、何ら問題を認めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
5%CAM-PCLではクラリスロマイシンの溶出量や組織へ移行する量が少ない可能性もあるため、10%, 15% CAM-PCLパッチを作成し、動物実験とin-vitro 溶出実験を行う予定である。また、高濃度パッチを移植した場合には、その薬剤による副作用の有無をチェックする計画である。
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Causes of Carryover |
(理由) CAM-PCLパッチ作成に必要な試験試薬を研究分担者が購入し実験する予定だったが、すでに研究代表者が購入しており、それら試験試薬を使用して作成することができたため。 (使用計画) 高濃度CAM-PCLパッチの開発に充てる予定である。
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