2018 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞分泌分子による心臓移植後の新しい免疫寛容誘導の開発
Project/Area Number |
17K10728
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 和朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70644665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
碓氷 章彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30283443)
大島 英揮 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40378188) [Withdrawn]
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (70718311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心臓移植 / 免疫寛容 / 間葉系幹細胞 / 分泌分子 / タンパク / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の移植治療では、同種異系である臓器、細胞を使用するため、拒絶反応が生じる。そのため、この拒絶反応をコントロールするために免疫抑制剤が必要である。近年の免疫抑制剤開発によって、より安全で、より選択的(移植反応の主要なエフェクター細胞はリンパ球T細胞である)な効果の高い免疫抑制が可能となってきた。しかしながら、現在でもなお、その非特異的免疫抑制作用による重症感染症、悪性腫瘍の発生は、解決すべき大きな課題である。多臓器に対して心臓移植では生体部分移植は不可能であり、脳死移植の機会が極端に少ない本邦において免疫拒絶反応の軽減は緊要な課題といえる。研究代表者らは、免疫抑制能・抗炎症作用をもつ間葉系幹細胞(MSC)による抗炎症作用などを介した大動脈瘤治療効果を示してきた。MSCが産生する分泌分子には、抗炎症作用・免疫寛容・組織修復を担う因子:エクソソーム(MSC-exo)、progranulin (PGRN), Secretory Leukocyte Peptidase Inhibitor (SLPI)が含まれていることを同定した。In vitroにおいて、炎症性マクロファージに対してMSC-exoおよびSLPIがより炎症を抑制することが分かった。一方、MSC-exo内には、タンパクやmiRNAなどの様々な因子を含んでおり、PGRN, SLPIも含有していると推察される。したがって、MSC-exo内からタンパクを抽出し、タンパクアレイにて網羅的探索を行なったところ、PGRN, SLPIだけでなく、抗炎症性サイトカインIL-13, IL-27, IL-4, TGF-β1も含まれていることが分かった。また、血管新生や心筋細胞アポトーシス抑制、炎症抑制に関与するmicroRNA: miR-126, miR-132, miR-146, MiR-210を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、異所性心臓移植モデルを作成し、心臓移植後に各因子を投与し評価する予定だった。しかし、実験に耐えうる安定したモデル確立に時間を要したため、先にMSC-exo内に含まれるタンパクやmicroRNAの解析を進めることとした。解析結果からは、抗炎症作用や免疫抑制に関わる因子を同定することができた。このことから、計画遂行する順序に違いが生じたが、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
SLPI特定タンパクが単独的にもしくは複合的に免疫寛容を誘導するのか、もしくは他因子も含むMSC-exoが有用なのかを明らかにすべく、異所性心臓移植モデルにて検討を行う。移植心の生着評価は、毎日触診にて鼓動が停止しているかどうかを判断する。機能評価は、超音波心エコーを用いて継時的(day1,3,5,7,10,12,14)に評価する。グラフト生着率にもよるが、day7, day14を目処に組織学的および生化学的評価を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画では、異所性心臓移植モデルを作成し、心臓移植後に各因子を投与し評価する予定だった。しかし、実験に耐えうる安定したモデル確立に時間を要したため、先にMSC-exo内に含まれるタンパクやmicroRNAの解析を進めることとしたため、計画遂行する順序に違いが生じ、次年度使用額が生じた。今後、in vivoで数多くのラットを使用するため、動物購入費および飼育管理費、解析のための試験試薬、ディスポ用品購入に使用する。
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