2019 Fiscal Year Research-status Report
骨親和性ペプチドを付与した、生体適合性骨髄止血材料の開発
Project/Area Number |
17K10729
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 英樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50732707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (10452393)
碓氷 章彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30283443)
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (70718311)
蟹江 慧 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (80636407)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ボーンワックス / 骨髄止血 / 骨再生 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
骨切開を伴う手術では骨切断面から多くの出血を伴うため、ボーンワックスで骨切断面にパッキングすることによる物理的な止血法が用いられている。心臓手術 の胸骨正中切開においてもボーンワックスが用いられるが、ボーンワックスは非分解・吸収性であるため、残存による骨癒合阻害や術後感染等の合併症を助長す る可能性がある。さらに骨癒合・再生の遅延は術後の社会復帰を妨げ、患者のQOLに著しく影響を及ぼす。従って、新たな骨切断面に用いる止血材料の開発は多 くの患者に有益である。本研究では、生体温度領域柔軟性を持つ生体吸収性材料を用い、早期骨再生を誘導する新たな止血材料の創出を試みる。 In vivo検討として、コントロール(sham)群、ボーンワックス群、P-(CL-DLLA)群、ペプチド含有P-(CL-DLLA)群の4群による比較検討を行った。ウサギ胸骨正中切開モデルを作成し、骨切断面を0.2gの各止血材料で止血した。2週間後に屠殺し、胸骨を採取してCT撮影したのち、CT撮影でのX線レントゲン画像から胸骨切断面の間隙エリアの測定、力学的強度測定を行った。間隙エリアは、sham群10.5%、ボーンワックス群26.4%。P-(CL-DLLA)群10.9%、ペプチド含有P-(CL-DLLA)群9.3%だった。ボーンワックス群は他群に比べ最も間隙エリアが大きかった(P<0.001)。力学的強度測定では、sham群145.9N、ボーンワックス群67.8N、P-(CL-DLLA)群101.7N、ペプチド含有P-(CL-DLLA)群160.8Nとなり、ボーンワックス群は他群に比べて有意に低かった。また、ペプチド含有P-(CL-DLLA)群はボーンワックス群およびP-(CL-DLLA)群に比べ有意に高かった(ペプチド含有P-(CL-DLLA)群 vs ボーンワックス群 P<0.001, ペプチド含有P-(CL-DLLA)群 vs P-(CL-DLLA)群 P<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進んでいるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
胸骨の組織学的評価(HE染色)を行う。また、前臨床研究としてイヌもしくはブタなど大動物を用い、胸骨正中切開における止血および骨再生について評価する。 計画通りに進まない時の対応として、骨再生に関する検討で有効性が低い場合には、ペプチド探索同定にフィードバックし、骨芽細胞接着や分化能がより高いペプチドをPIASPAC法にて再考する。また、In vivoにおいては経時的評価時期を4週以上にするなど可変して再考する。
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Causes of Carryover |
前年度に購入した消耗品が残っており、それらを用いて実験を遂行したので使用額に差が生じた。また旅費として国外学会参加を予定していたが、参加しなかったため使用額に差が生じた。次年度以降も引き続き動物実験を行い、その成果を国内外で発表報告するとともに、論文報告をするため、それらに差額を使用する計画である。
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