2017 Fiscal Year Research-status Report
活性型ビタミンD投与による大動脈瘤形成抑制効果の検討
Project/Area Number |
17K10753
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 清章 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50467312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古森 公浩 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40225587)
坂野 比呂志 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80584721)
杉本 昌之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00447814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 活性型ビタミンD3 / ビタミンD / アディポサイトカイン / アディポネクチン / 動脈硬化 / 炎症性メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:近年、高齢化や食生活の欧米化に伴い、本邦でも動脈硬化疾患が増加している。腹部大動脈瘤も動脈硬化を主体とした慢性炎症が病因と考えられている。活性型ビタミンDや選択的ビタミンD受容体活性物質の投与が慢性腎疾患患者の心血管病発症リスク軽減に関与していることが報告されている。本研究の目的は、大動脈瘤関連因子とビタミンDとの関係を明らかにし、新たな血管病の治療戦略を提示することにある。 方法:In vitro J774A.1マウスマクロファージを使用。マクロファージを培養後、matrix metalloproteases(MMPs)やcytokinesの発現を誘導するためTNF-α(20ng/ml)で刺激した。具体的には、24wellプレートを用いて1wellあたり4×105個のマクロファージとTNF-αを含む細胞懸濁液とDMEM培地を入れ、24時間反応させた。その後、calcitriolを含む培地を添加し、マクロファージからmRNAを抽出し、逆転写酵素にてcDNAを生成した後qPCRを用いて遺伝子発現解析を行った。calcitriol添加濃度は投与なし(control)、10nM、100nMの3種類の濃度で行った。qPCR時にはGAPDH, TNF-α,interleukin(IL)-6, monocyte chemotactic protein(MCP)-1のプライマーを使用した。GAPDH当たりの相対的発現量を比較することで評価した。 結果:MCP-1 (control vs 10nM vs 100nM; 0.94 vs 0.71 vs 0.62)でありcalcitriolを添加した群はいずれもcontrolに対して有意に遺伝子発現が抑制された(p<0.05)。 IL-6 (control vs 10nM vs 100nM; 0.98 vs 0.95 vs 0.84)、TNF-α (control vs 10nM vs 100nM; 0.90 vs 0.85 vs 0.92)ではグループ間に有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性型ビタミンD(calcitriol)投与により、まずin vitroにおいて大動脈瘤形成に関与する炎症性メディエーターであるMCP-1の遺伝子発現が抑制されたことを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、エラスチンを主成分とする弾性繊維などの細胞外マトリクスの分解を促進するmatrix metalloproteinase (MMP)-2及びMMP-9やその他の炎症性メディエーターなどに対するcalcitriol投与の効果を調べる必要があり、さらには動脈瘤の動物モデルを使用して大動脈瘤発症抑制効果や進行抑制効果などを調べる実験が必要と考えられた。
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Research Products
(7 results)