2017 Fiscal Year Research-status Report
冷却・復温による血中遊離ヘモグロビン減少の機序解明とその成果の臨床応用
Project/Area Number |
17K10755
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
織田 禎二 島根大学, 医学部, 教授 (50448198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健一 島根大学, 総合科学研究支援センター, 教授 (30202328)
今井 健介 島根大学, 医学部, 助教 (60457182)
末廣 章一 島根大学, 医学部, 助教 (90596545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘモグロビン / 溶血 / スカベンジャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、低体温・復温により血中遊離ヘモグロビンの減少(増加抑制)が起きる仕組みを解明し、臨床への応用を検討する研究である。初年度は、血中遊離ヘモグロビンの消去システムを活性化させるpathwayを解析するため、高度低体温を用いる胸部大動脈瘤手術および脳低体温療法症例の冷却前、復温終了後の血漿サンプルを用いて、1)ブルダウンアッセイ(タグ付き蛋白質を用いた蛋白質相互作用解析)、2)共免疫沈降法(Co-immunoprecipitation; Co-P),3)遊離ヘモグロビンのpseudoperoxidase (POX)活性測定にて解析する計画である。3)のpesudoperoxidase活性測定は測定機器を購入する必要があるが、経費不足で購入を断念した(110万円)。1)のプルダウンアッセイではlyophilized powderよりヘモグロビン溶液を作成し、ビオチン化キット製品を用いてビオチン化溶液を作成した。HABA assayにてビオチン/ヘモグロビン比を測定すると約6.4であり妥当と判断した。次に脳低体温療法症例の冷却前と復温後の血漿サンプルを用いてプルダウンアッセイキットを用いて解析し、elution液を電気泳動にかけ、明瞭なバンドを質量分析したところ、ハプトグロビンであった。ほかの薄いバンドも同様に質量分析を行ったが、量が少ないためか蛋白質を同定できなかった。なお、2)の共免疫沈降はマンパワー不足で実施できなかった。 今後は、ヘモグロビンと相互作用を有する蛋白質をすべて同定する目的で、プルダウンアッセイで得たelution液をiTRAQ試薬でラベルした後、質量分析(nano-LC MALDI TOF/TOF MS/MS)にて網羅的に解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試薬やキット製品を国外から取り寄せるのに時間がかかり、解析のとりかかりが遅れた。また全く未知の分野の解析のため、慎重にワンステップ進むごとに解析結果の妥当性を判断したため時間がかかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヘモグロビンとの相互作用を示す蛋白質溶液をプロテオミクスにて網羅的に解析する予定である。その後、計画に従い、培養細胞による基礎的検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国外からの、試薬やキットの納入に時間がかかり、翌年度へ繰り越すこととなった。 遅れていたキットの入荷を待って、研究を進める予定である。
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