2018 Fiscal Year Research-status Report
腹部大動脈瘤におけるVasohibin-2の分子機構の解明
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17K10757
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 治仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (00550857)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / Vasohibin-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度の実験が当初の予想と異なりnegativeであったため、今年度は研究計画を変更した。結果の再現性を確かめるため、同じく9~13週齢のオスのApoEノックアウトマウス(高脂血症モデルマウス)へ浸透圧ポンプを用いてAngII(1,000ng/kg/min)を3週間持続投与する群と、AngIIと同時にadenovirus vector encoding human Vasohibin-2を尾静脈投与する群を作成し、Vasohobin-2投与による胸部大動脈瘤発症・進展への影響を、もう10匹ずつ作成し検討した。Adeno virusの発現の確認をqPCR、WBで確認後、マウスの体重、血圧、および血清総コレステロール値、大動脈瘤破裂によるマウスの死亡率、腹部大動脈瘤への影響を検討したが、昨年の結果通り、2群間で有意な差は認められなかった。そこで、コントロールのApoE群、コントロールのApoE+Vasohibin-2投与群、を加えた4群の腹部大動脈の組織を解析した。H&E染色、EVG染色、Masson染色、CD31染色、CD68染色を行った。コントロール群では、中膜・弾性線維の断裂は認められなかったが、AngII投与した2群においては、中膜・弾性線維の断裂が同程度に認めらえた。コントロールの2群ではCD31陽性細胞は同じ程度に血管内膜に1層認められたが、CD68陽性細胞は認められなかった。一方、AngII投与の2群に関しては、外膜でのCD31陽性細胞、およびCD68陽性細胞が、どちらも同程度認められた。さらに、細胞外マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現をゲラチンザイモグラフィーを用いて検討したが、こちらもVasohibin-2投与による影響は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、最初の2年間にin vivoでのphenotypeを検討することを目的としており、初年度は当初の予想とは異なる結果を得たものの、今年度はその結果の再現性・正当性を確認することができたこと、また組織学的な詳細な検討を行い、腹部大動脈瘤形成に関するphenotypeにも一貫した結果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初に計画した実験は、結果が予想と反しているところがあったものの、in vivoの結果検証に関してはここまでおおむね計画通りに進捗している。平成31年度も計画通りに進める予定である。具体的には、adenovirus vector encoding human Vasohibin-2が果たす炎症制御機構や細胞外基質の調節機構について、細胞実験やex vivoを用いて検討することとする
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