2018 Fiscal Year Research-status Report
静脈グラフトにおけるプロスタノイド受容体の発現とポジティブ・リモデリングの誘導
Project/Area Number |
17K10766
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
西部 俊哉 東京医科大学, 医学部, 教授 (10261306)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 静脈グラフト / プロスタノイド受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈・静脈グラフトを使用した研究ではプロスタノイド誘導体が新生内膜肥厚を始めとするグラフト不全を予防することが報告されているが、その作用機序は 未だ明らかになっていない。そこで、われわれはプロスタノイド受容体に関する発生学的な知見に基づいて、「血管リモデリングの過程で成熟型から幼若型に脱 分化した血管平滑筋細胞にプロスタノイド受容体が発現しており、プロスタノイドが動脈・静脈グラフトのポジティブ・リモデリングに関与している」と仮説 を立て、本研究の目的はその仮説を動物モデルにより証明することである。 平成29~30年度に以下の結果をいた。ラット自家静脈移植動物モデルを作成し、1)Real-Time Quantitative PCRによるEP2 mRNAの定量、2) SDS-PAGE 及びSemi- quantitative Western Blotting法によるEP2タンパク質の定量、3)二重免疫染色によるEP2タンパク質の局在の同定を行った。EP2 mRNAは移植後28日目まで2相性に発現し、EP2タンパク質は14日目をピークに28日目まで発現していた。EP2タンパク質は脱分化した血管平滑筋細胞に発現していた。プロスタグランジンE2はEP2と結合して血小板凝集抑制作用、血管拡張作用を発揮することが知られており、今回の結果から静脈グラフトはグラフトリモデリングの過程でEP2を過剰発現することにより、ポジティブ・リモデリングを誘導していることが示唆された。また、これらの結果は平成31年4月19日日本外科学会総会(大阪)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、凍結してあるサンプルを使用して、RT-PCRによるIP mRNAおよびIPタンパク質の測定を行った。 IP mRNAはコントロールに比較して、移植前0.75倍、4日目1.35倍、7日目0.43倍、14日目0.85倍、28日目0.38倍と2相性に上昇していた。また、IPタンパク質(単位:AU)は移植前0.28、4日目2.45倍、7日目0.85倍、14日目0.51倍、28日目0.42倍と4日目をピークに上昇していた。IPタンパク質は脱分化した血管平滑筋細胞に発現していた。 プロスタグランジンI2はIPと結合して血小板凝集抑制作用、血管拡張作用を発揮することが知られており、静脈グラフトはグラフトリモデリングの過程でIPを過剰発現することによって、ポジティブ・リモデリングを誘導していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、ラットに浸透圧ポンプを移植、プロスタグランジンを持続注入するモデルを作成し、プロスタグランジンの効果をみる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は他研究で使用した消耗品を使用することが可能であったので、消耗品の購入が計画より少額になったため、残額を次年度の予算に編入した。残額は次年度の消耗品費の購入に当てる予定である
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Research Products
(1 results)