2018 Fiscal Year Research-status Report
ずり応力によるiPS細胞由来血管内皮細胞の形態変化に伴う細胞機能・応答機構の解明
Project/Area Number |
17K10769
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
栗田 二郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (20421183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 隆 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40256954)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | シェアストレス / 血管内皮細胞 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、血流に起因するシェアストレス(ずり応力)に対するiPS細胞由来の血管内皮細胞の形態変化に伴う細胞機能・応答機能を解明し、将来、iPS細胞を応用した心血管疾患への再生医療の確立を実現することである。 具体的なアプローチは以下のとおりである。①iPS細胞由来血管内皮細胞のシェアストレスフローモデルを確立する。②シェアストレスに対するiPS細胞由来血管内皮細胞とヒト正常血管内皮細胞の細胞応答の比較を行い、iPS細胞由来細胞の脆弱性と改善点を検証する。③血流パターンの違いから見たiPS細胞由来血管内皮細胞の細胞応答の変化を検証する。 まずはじめに、iPS細胞由来血管内皮細胞のシェアストレスフローモデルの確立を行なった。シェアストレス回路は特製のpararell plate flow chambersシステムを用いて、各細胞を①定常層流、②一方向性拍動流、そして③二方向性拍動流(乱流)の3種類のシェアストレスに一定期間曝す事を可能にした。iPS細胞由来血管愛妃細胞および正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞の各細胞をフィブロネクチンコーティングのスライドグラスに播種し、10%ウシ胎児血清(FBS)付加専用培地に100% コンフルエントまでインキュベーター内にて培養を行った。フィブロネクチンコーティングとの生着が一定でなく、シェアストレス回路にてフローに晒す条件下では、一部細胞層が剥離してしまう事もあったため、安定したスライドグラス作成に、インキュベート条件を調整し、各細胞の生着を安定化させた。 今後、このモデルを用いて、各勝龍パターンによるタンパク発現の違い等について定量的検証を行なっていく計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
iPS細胞由来血管内皮細胞のシェアストレスフローモデルの確立を行うためには、安定して血管内皮細胞へのiPS細胞からの分化誘導が必須であるが、様々な条件や手技が報告されており、その技術的安定化には時間を要している。また、血流パターンの違いによっては、スライドグラス上に一層に播種させた細胞が、過度のシェアストレスや、細胞環境下では容易にスライドグラスから遊離し、壊死してしまう状況が起こり、その条件の検討に時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、スライドグラス上への安定した血管内皮細胞の一層状の安定した生着を目指すため、①接着因子の選択検討と②最適な細胞培養液の選択、そして③シェアストレス強度の条件検討が必要である。 ①に関してはフィブロネクチンや1型コラーゲン、ゼラチンの種類を変え、比較検討を行なっていく。②、③に関しても過去の文献を参考に、培養液の種類や濃度、環境を検討し、基礎的検証を繰り返し行う方針である。
|
Causes of Carryover |
当初よりも計画が遅れ、基礎的検証を行っている。今後、本実験に備え、フローモデルの機材の購入、学会報告への諸費用に用いながら論文作成に至る過程で研究費を使用する予定である。
|