2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of insulin on platelet aggregation in coronary artery bypass grafting
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17K10771
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 隆一 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (10094111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒲生 修治 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (20273930)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血小板凝集 / 糖尿病 / 心バイパス手術 / スパズム |
Outline of Annual Research Achievements |
重症の冠動脈疾患には冠動脈バイパス手術が適用されるが、移植された血管は、血管内皮細胞が脱落しているため、血小板の活性化が生じやすい状態にある。活性化された血小板から放出されるセロトニン(5-HT)などのケミカルメディエータは、さらなる血小板の活性化を惹き起こすことによりバイパス血管のれん縮を生じさせるため、手術の成功率に大きな影響を与える。このバイパス血管のれん縮は、非糖尿病患者に比べて糖尿病患者で生じ易いことが知られている。したがって、インスリン作用不全が血管平滑筋のみならず血小板の反応性をも亢進することを証明できれば、糖尿病患者でバイパス手術後に血管閉塞が生じやすい原因の解明につながるとともに、より安全なバイパス手術の予後改善に寄与できる。現在のところ、高濃度インスリンによる血小板膜の5-HT2A受容体量の減少を確認しているが、ウサギ血小板膜の生理活性を長時間保つ実験条件設定が困難であり低濃度インスリン(生理的濃度)を長時間作用させるのが困難な状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々はこれまで、インスリンにはセロトニン2A (5-HT2A)受容体をヒト血管平滑筋細胞膜から細胞質に引き込むインターナリゼーション促進作用があることを報告してきた。この結果から、糖尿病患者の血管で見られるセロトニンに対する収縮反応性亢進は、インスリンの作用不全によって血管平滑筋細胞膜の5-HT2A受容体の数が相対的に増加したためではないかと考えている。一方、血小板膜にはセロトニン受容体が発現しており、自分自身や他の血小板から放出されたセロトニンにより活性化され迅速な血小板凝集を起こすことが知られている。この血小板凝集は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。したがって、糖尿病患者でセロトニンによる血小板凝集が促進されているのであれば、抗血小板薬の使用により冠動脈バイパス手術におけるリスク軽減が期待される。平成30年度は、血小板膜においても、インスリンによるG蛋白質共役受容体のインターナリゼーションが惹起されるのかを明らかにする目的で、血小板凝集におけるインスリンの影響について以下の2点を指標として研究を展開した。①インスリン作用の用量依存性②インスリン処理による血小板膜上の5-HT2A受容体量の変化。現在のところ、高濃度インスリンによる血小板膜の5-HT2A受容体量の減少を確認しているが、ウサギ血小板膜の生理活性を長時間保つ実験条件設定が困難であり低濃度インスリン(生理的濃度)を長時間作用させるのが困難な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、血小板膜上の5-HT2A受容体蛋白を定量する実験手技は確立しており、今年度はウサギ血小板に加えてヒト血小板を使用して低濃度インスリン処理条件が設定できることから、研究の遅れは取り戻すことができ、平成30年度の目標であるインスリンによるG蛋白質共役受容体のインターナリゼーションの細胞内メカニズムを明らかにすることが可能と考えている。平成31年度には、インスリンの作用メカニズムの解明を目指し、ヒト血小板を用いて以下の2つの方向からのアプローチを行う。①インスリンで刺激した時の細胞内分子の活性化に関する検討:細胞内シグナル分子の発現量、リン酸化レベルおよびトランスロケーションなどについて、主としてウエスタンブロット法やリアルタイムPCR法を用いた解析を行う。②細胞内シグナル分子の受容体インターナリゼーションにおける役割の解析:細胞内シグナル分子の阻害薬または刺激薬を作用させた血小板の反応を調べ、凝集能や受容体インターナリゼーションにおけるそれぞれのシグナル分子の関与を解明する。血小板は無核の細胞断片であるため、外界から刺激を受けても、遺伝子誘導や蛋白合成が行われることは無い。ゆえに、細胞外環境が血小板の反応性に影響を与えるとすれば、その変化はシグナル分子の局在や活性変化に依存するところが大きいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、血小板膜においても、インスリンによるG蛋白質共役受容体のインターナリゼーションが惹起されるのかを明らかにする目的で、血小板凝集におけるインスリンの影響について以下の2点を指標として研究を展開した。①インスリン作用の用量依存性②インスリン処理による血小板膜上の5-HT2A受容体量の変化。現在のところ、高濃度インスリンによる血小板膜の5-HT2A受容体量の減少を確認しているが、ウサギ血小板膜の生理活性を保つ実験条件設定が困難であり低濃度インスリンを長時間作用させるのが困難な状態である。また計画では、県立病院で治療を受けている糖尿病患者や非糖尿病患者から血液サンプルを提供してもらう予定であったが、共同研究を行っている県立病院医師が転勤となり、患者の血液の供給を受けられない状態となった。そのため研究はウサギ血小板のみを使用しており、細胞内シグナル分子の変動等の研究ができていないことから次年度使用額が生じている。そこで、本年度はすでに倫理委員会の承認を受け、健常者(ボランティア)からのヒト血小板を使用するよう計画を変更して研究を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] In patients with diabetes mellitus(DM), but not in patients without DM, angiotensin II is a vasospasm inducer in both venous and arterial conduits under coronary artery bypass grafting2018
Author(s)
Tatsuo Shiba, Atsuko Yokota, Shuji Gamoh, Naoko Tanaka-Totoribe, Masachika Kuwabara, Eisaku Nakamura, Takairo Hayase, Kunihide Nakamura, Hiroaki Hisa, Ryuichi Yamamto
Organizer
18th WORLD CONGRESS OF BASIC AND CLINICAL PHARMACOLOGY(国際学会)
Int'l Joint Research