2020 Fiscal Year Research-status Report
下肢静脈瘤の初期進展におよぼす血管機能破綻メカニズムの解明
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17K10772
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
鳥取部 直子 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (70322576)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 下肢静脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢静脈瘤血管のリング状標本をKrebs-Henseleit液を満たしたマグヌス管内に懸垂し、初期張力(2.0 g)を負荷した時の血管内径を測定した後、直径による群分けを行った。これら各群における各種薬物(KCl 60 mM、セロトニン 5-HT 10 uM、ノルアドレナリン NA 10 uM および アンジオテンシンII AngII 1 uM)による張力変化について検討した。各種薬物刺激による血管収縮力は、正常血管および下肢静脈瘤血管の間で有意な差は認められなかった。血管径あたりの収縮力は、各種薬物刺激のいずれにおいても、下肢静脈瘤血管で有意に減弱していた。血管内径 6 mm 未満の下肢静脈瘤血管において、各薬物による血管内径あたりの収縮力は、正常血管の収縮力と比較して有意な差は認められなかった。また、血管内径 6 mm未満の下肢静脈瘤血管(血管内径 3-4.5 mm および 4.5-6 mm)の収縮力の間に有意な差は認められなかった。高度に拡張した下肢静脈瘤血管(血管内径 6 mm超)においては、各薬物刺激による収縮力は、正常血管の収縮力と比較して有意に減弱していた。さらに、血管をホルマリンで固定した後に凍結切片とし、ヘマトキシリン・エオジン染色した後に、血管組織の病理的観察を行った。その結果、組織像は、高度に拡張した下肢静脈瘤血管(血管内径 6 mm超)では、中膜平滑筋の萎縮や線維化がみられたが、正常血管と同定度の径の下肢静脈瘤血管では、異常が見られなかった。これらの結果より、下肢静脈瘤血管において、血管内径の拡大により血管反応性が変化するものの、一定の大きさまでは、収縮力が十分に保たれていることが明らかとなった。また、下肢静脈瘤の発症においては、組織学的変化に先立って平滑筋収縮力の低下が生じ、これが惹起因子となって血管膨隆が始まる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大にともない、医療機関からのサンプル(下肢静脈瘤血管および正常血管)提供が滞っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
下肢静脈瘤血管における形態学的な変化についてさらに検討する予定である。また、研究計画どおり、下肢静脈瘤血管の形態学的変化にともなう各種受容体遺伝子やタンパク質発現レベルの変化、および細胞内シグナルに変化について検討する。血管供給数の減少に対しては、これまでに取得している凍結サンプル等を用いて対応する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大にともなう医療機関からのサンプル(下肢静脈瘤血管および正常血管)の提供が滞っている。従って、今後は既存の凍結サンプルを用いて、研究計画どおりに実施していく予定である。
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