2017 Fiscal Year Research-status Report
Prognostic factors of IgG4-related vascular disease
Project/Area Number |
17K10773
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (20444200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 聡 金沢大学, 保健学系, 助教 (40401921)
川島 篤弘 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), 臨床検査科・病理診断科, 臨床検査科部長 (20242563)
笠島 史成 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), 心臓血管外科, 心臓血管外科医長 (90303304)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / サイトカイン / MMP |
Outline of Annual Research Achievements |
血管病変におけるIgG4関連疾患 (IgG4-related vascular disease; IgG4-RVD)においては,解離や瘤破裂等の急性な致死的合併症がある点において,緩徐な経過の他臓器IgG4関連疾患とは予後が大きく異なるため,その進展,予後因子の解明が急務である.我々は,IgG4-RVDでは,炎症性マーカーの中心的役割を果たすIL-6高値であることを解明し,予後因子としてIL-6をはじめとしたCytokine(CKs)や,血管壁を直接破壊するMatrix metalloproteinases (MMPs)に注目し,保存血清や切除材料の組織像から,CKs, MMPsを検討し,経過や予後との関連を検討する事を本研究の目的としている. 平成29年度は保存血清を用い,CKsとしてTh2優位を示すIL-4,IL-5,IL-13,Th17優位を示すIL-17,IL-22,制御性T細胞の亢進を示すIL-10,TGF-β, 線維化の目安となるIFN-γ,炎症の中心となるIL-6のELISA測定,炎症マーカーとしてWBC, ESR;CRPの測定を進めた.血管病変を有しない他臓器IgG4関連疾患と比較すると,IgG4-RVDでは,IL-6,CRPなどの炎症性マーカーが有意に高値である事が判明し,IgG4-RVDの病因や進行と炎症所見の関連性についての見解が得られたため,論文投稿中である.また,組織でのMMPs発現の免疫組織学的検討も進行している.当初の予定のMMPs MMP-1,MMP-2,MMP-3,MMP-9,TIMP-1,TIMP-2に加えて,MMP8,MMP13,MMP14,MT-MMPも検討している.組織球(CD68, CD163)がMMPs発現の候補と考えられ,樹状細胞マーカー(CD1a, CD11b,CD33,CD123)も追加検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.IgG4-RVD,その比較対照群における血清CKs;MMPsの測定:保存血清を用い,CKsとしてTh2優位を示すIL-4,IL-5,IL-13,Th17優位を示すIL-17,IL-22,制御性T細胞の亢進を示すIL-10,TGF-β, 線維化の目安となるIFN-γ,炎症の中心となるIL-6のELISA測定,炎症マーカーとしてWBC, ESR;CRPの測定は進行中である.他臓器の血管病変を有しないIgG4-RDと,IgG4-RVDでは,IL-6,CRPなどの炎症マーカー値が異なっており,IgG4-RVDの病因や進行と炎症所見の関連性についての見解が得られたため,論文作成し,投稿中である.MMPsは,ELISA測定系を確立中である.また,CKs,炎症性マーカーについては,蓄積症例の経過に沿ったデータを測定中である. 2.IgG4-RVD,その比較対照群における組織のMMPs発現細胞,その部位の同定 (1)切除材料を用いた局所のIgG4-RVDの活動性の評価: IgG4-RVDの動脈壁肥厚,炎症細胞浸潤の種類,程度を計測し,IgG4-RVDの活動性を,炎症細胞浸潤の強い時期と線維化の強い時期の2期に分けて,再評価中である. (2)MMPsの免疫組織化学染色: MMPs局在を解明するために, IgG4-RVD及び比較対照群のパラフィンブロックからの薄切標本を用いて,MMPsの免疫染色を施行中である.当初の予定のMMPs MMP-1,MMP-2,MMP-3,MMP-9,TIMP-1,TIMP-2に加えて,MMP8,MMP13,MMP14,MT-MMPも検討している.組織球(CD68, CD163)がMMPs発現の候補と考えられたが,更に,樹状細胞マーカー(CD1a, CD11b,CD33,CD123)を追加検討している. 以上の理由により,(2)おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.血清MMPsの測定:ELISA法を用いて保存血清のMMPsを測定する. 2.CKs、MMPsの発現細胞の同定:IgG4-RVD血管壁におけるCKs, MMPs発現細胞同定のために,組織球(CD68, CD163)および線維芽細胞(CD34),樹状細胞(CD1a, CD11b,CD33,CD123)の血管壁における分布の検討とこれらのマーカーとCKs,MMPsの二重免疫染色を進める.MMPs mRNA,CKs mRNAの発現細胞をRNA scope によるISHで確認する.組織標本上でmRNA発現細胞の発現部位を確認し,画像解析により定量的解析を行う.CKs,MMPsは細胞間で作用するため,免疫染色では細胞間に分泌されたCKs,MMPsも染色され,発現細胞の同定が困難な場合があるため,ISHを行って確認する. CKs,MMPs,の免疫染色による蛋白発現と,ISHによる mRNA発現細胞とを比較し,一致性や発現量を解析する. MMPs mRNAとCKs mRNAの共発現をDual ISHで確認し,CKs,MMPs発現細胞の同一性,分布,位置関係を解析し,更にDual ISHと免疫二重染色の結果を比較する.
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Causes of Carryover |
免疫染色での評価がやや遅れているために.RNAscopeのprobeや ELISAでの使用抗体,消耗品の購入が遅れている.次年度の使用計画は,これらの抗体や消耗品の購入に加え,研究成果発表のための旅費,英文校正費として使用する予定である.
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Research Products
(5 results)