2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for the biomarker of the immune checkpoint inhibitor
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17K10780
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
五十嵐 知之 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00510314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 淳 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00452243)
寺本 晃治 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (10452244)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非小細胞肺がん / PD-L1 / がん関連線維芽細胞 / 無再発生存期間 |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺がん細胞のPD-L1タンパクの発現制御について研究を行った。非小細胞肺がん細胞の細胞株に、インターフェロンγの添加・除去により培養し、非小細胞肺がん細胞のPD-L1分子の発現は、インターフェロンγにより可逆性に制御されることを示した。 さらに非小細胞肺がん組織検体においてMHC class I分子が陽性であるがん細胞が主体である症例では、がん細胞のPD-L1が陽性である症例が多いことを示し、がん細胞にPD-L1が発現するためには、リンパ球の活性化、さらに活性化リンパ球によるインターフェロンγの分泌が必要であることを示した(Igarashi T, Teramoto, K, Daigo Y, et al, Oncol Rep 2017)。非小細胞肺がんの手術検体を用いて、がん細胞のPD-L1分子の発現と予後との関連について研究を行った。肺葉切除術以上の完全切除術を施行された非小細胞肺がん(浸潤性肺腺がんおよび扁平上皮がん)を対象とし、早期(I期)の症例においては、PD-L1分子の高発現群は無再発生存期間が有意に長いことを示し、一方で、進行例(II期~IIIA期)においては、PD-L1分子の高発現群は、無再発生存期間が短い傾向にあった。早期例においては、がん細胞のPD-L1発現は、抗腫瘍免疫応答の誘導を意味し、進行例においては、免疫チェックポイント機構の稼働を意味する可能性が示唆された(投稿中)。 がん間質におけるPD-L1分子の発現について、リンパ節転移や遠隔転移を認めない非小細胞肺がんの手術症例においては、PD-L1陽性のがん関連線維芽細胞を認める群において無再発生存期間が有意に長いこと、がん関連線維芽細胞のPD-L1発現は予後予測のために独立した予後マーカーであることを示した(Teramoto K, Igarashi T, Kataoka Y, Daigo Y, et al, Lung Cancer 2019)。これらの結果を統合すると、非小細胞肺がんにおけるPD-L1発現については、がん細胞や間質細胞、病期などにより意義が異なることが判明した。
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