胸腔洗浄液メタボローム解析による肺癌新規バイオマーカーと予後予測因子の網羅的探索

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K10802
• Research Institution: Tokyo Medical University
• Principal Investigator: 前田 純一 東京医科大学, 医学部, 講師 (50408176)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: メタボローム解析 / 肺癌 / 胸腔洗浄液

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、胸腔内洗浄液・低侵襲に取得可能な体液（血液、唾液、尿など）・肺癌切除検体にメタボローム解析を用いることで胸膜播種診断補助マーカーと、化学療法（抗がん剤及びイレッサによる分子標的療法）の効果予測と効果モニタリングのマーカー探索を行う。特に、胸膜播種診断では病理診断によって得られる情報との統合解析をすることにより診断の感度・特異度を向上させることができれば、新しい予後予測因子となり得る。
本研究の説明を行い同意を得た手術患者の胸腔洗浄液、唾液、尿および組織の採取を行うが解析対象としては、約120検体程度を目標としており現在検体採取の症例集積中である。症例集積が進んだ段階で胸腔内洗浄液・組織・体液メタボローム解析から得られた診断用マーカーの有用性を確認するために、臨床情報をブラインドとしてメタボローム解析を行い、提案された診断システムの正診率を評価する。組織・血液のみならず、唾液・気管支洗浄液なども用いて、マーカーの有用性を評価する。
胸腔洗浄細胞診の結果、術後１か月後に得られる病理レポートの結果、腫瘍マーカー・CT・PET-CTなど再発に関する臨床経過データとメタボロームのデータを結合し、より高精度に予後予測ができる指標の開発を行う。メタボロームのデータは、ノンターゲット解析をするために数百から数千程度の物質の定量値が得られるために、単純な多変量解析では多数の候補が得られて少数検体では正しい物質の組み合わせに絞り込みができない可能性がある。このため、最初に全体を俯瞰化する主成分分析(PCA)の解析によって類似した変動を行う分子群の集約化や、各物質の相互相関をすべてとって胸腔洗浄液の濃度を反映するような物質(濃度補正用マーカー)を探し、これらの変数の組み合わせと迅速診断の結果との統計解析を行うなど、様々なアプローチを試みる。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

3年間で120例の検体採取を予定している。唾液、組織の採取は進んでいるが、胸腔洗浄液の採取がまだ予定通りに集積されていないため今後積極的に集積を進める予定である。

Strategy for Future Research Activity

今後なるべく多くの症例から胸腔洗浄液検体の採取を進めて120例の目標に到達させる。症例集積が進めば胸腔洗浄細胞診の結果、術後１か月後に得られる病理レポートの結果、腫瘍マーカー・CT・PET-CTなど再発に関する臨床経過データとメタボロームのデータを結合し、より高精度に予後予測ができる指標の開発を行う。メタボロームのデータは、ノンターゲット解析をするために数百から数千程度の物質の定量値が得られるために、単純な多変量解析では多数の候補が得られて少数検体では正しい物質の組み合わせに絞り込みができない可能性がある。このため、最初に全体を俯瞰化する主成分分析(PCA)の解析によって類似した変動を行う分子群の集約化や、各物質の相互相関をすべてとって胸腔洗浄液の濃度を反映するような物質(濃度補正用マーカー)を探し、これらの変数の組み合わせと迅速診断の結果との統計解析を行うなど、様々なアプローチを試みる。

Causes of Carryover

現在検体採取を行っている段階でありメタボローム解析は開始していないため助成金を次年度に繰り越すこととした。次年度に、マイクロアレイ解析に用いる試薬やキット、がん細胞培養に必要な培養容器、培養液、試薬および代謝物定量の試薬やサンプル処理用のチューブ等の消耗品の購入を予定する。