2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10808
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福井 高幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70463198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽切 周平 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40647476)
川口 晃司 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (10402611)
横井 香平 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (60378007) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 胸腺上皮性腫瘍 / 胸腺腫 / 胸腺癌 / PD-L1 / PD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部希少悪性腫瘍のうち、今年度も昨年に引き続いて胸腺腫の細胞株樹立を主に取り組んでいるが新規細胞株の樹立は成功しなかった。利用可能な細胞株および切除標本を用いて胸腺上皮に特異的なたんぱく発現パターンを免疫染色などで評価している。今後も切除検体や胸水を用いて細胞株の樹立を試み、たんぱく発現パターンの解析などを行っていく予定である。 胸腺腫の外科切除検体による遺伝子異常の網羅的な検索を行った。外科検体は80例前後あり、これを用いた次世代シークエンサー等による遺伝子異常の網羅的な検索を試みている。しかし、現時点でまだ有望な遺伝子異常、特異的な遺伝子変異等は見つかっていない。今後は外科手術症例の検体採取同意を積極的に行い、外科検体標本数をさらに増やし、引き続きH31年度も胸腺腫の遺伝子異常の網羅的解析を継続する予定である。 採取された胸腺腫、胸腺癌検体のパラフィンブロック81例を薄切して免疫チェックポイント蛋白であるPD-L1染色を行った。その結果22例が陽性(1%以上染色される)と判定され、B2とB3胸腺腫や3-4期の進行期胸腺腫、および胸腺癌に有意に陽性が多いことが判明した。また、FDG-PET検査におけるFDG集積(SUVmax値)と有意に相関していた。しかしPD-L1陽性は無再発生存率に関する独立した予後因子ではなかった。この結果は2018年10月の欧州臨床腫瘍学会にて発表した。 さらに今年度は当院での過去の切除検体240例を用いて新たにPD-L1の追加染色を施行した。その発現率、陽性率と臨床的情報、予後との関連を検討中であり来年度結果が判明する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胸腺上皮性腫瘍は36例程度の手術例があったが、検体採取に適した中皮腫症例が6例しかなかった。よって術前治療などで修飾を受けていない適切な検体の取得が困難であった。 胸腺腫の緩徐に増殖する生物学的特性により、細胞株樹立そのものが困難である。培地や付加血清の変更などをしているが好転せず、また継代を重ねるのにも時間がかかるため予定より大幅に遅れている。 PD-L1免疫染色は完了したが、200例以上と数が多く、染色結果評価を複数の病理医が行っているため時間がかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
胸腺上皮性腫瘍、悪性胸膜中皮腫ともに、新たな検体が得られた場合には、前年度に引き続き細胞株の樹立をこころみる。 これまでに樹立に成功したと思われる細胞株や切除検体を用いた免疫染色や遺伝子解析をより積極的に推進する。そのために対象とする蛋白や遺伝子の候補を当初より少なくしてスピードアップを図る。 PD-L1染色が終了した200例のサンプルの病理学的な評価についてはより密なコミュニケーションをとって迅速な結果取得に努める。
|
Causes of Carryover |
研究実施が予定より遅れた分、試薬、器具などの消耗品の使用量が少なかったため、次年度使用額が発生したと考えられる。次年度には初年度および昨年度に行う予定であった研究(細胞培養、免疫染色など)にともなう試薬や設備管理費に加え、外注解析費用やデータ解析のために使用予定である。
|
Research Products
(2 results)